都市インフラを収容する地下空間:共同溝の仕組みと役割

📌 主なポイント
- ✓共同溝は、複数の公益事業者の物件を道路管理者が道路地下に共同で収容する施設である。
- ✓電線類のみを対象とする小型の施設は「電線共同溝」と呼ばれ、歩道下などに整備される。
- ✓ソウル市での火災事故などを契機に、インフラの拠点である共同溝は軍事・テロ対策上の重要施設として厳重に管理されている。
共同溝(きょうどうこう、英語: utility tunnel, utility corridor)は、電気、電話、上下水道、ガスなどのさまざまなライフラインをまとめて道路などの地下に埋設するための地下施設である。
概要と法定義
日本の法令上では、共同溝は「二以上の公益事業者の公益物件を収容するため道路管理者が道路の地下に設ける施設」と定義されている(共同溝の整備等に関する特別措置法第2条第5項)。
電気や電話などの電線類は電柱上に架けられることが多いが、これを地下の共同溝に収容することで、都市の景観向上や災害時の安全性向上に寄与する。また、元々地中に埋設されている水道管やガス管の場合でも、共同溝の内部に収容されていれば道路をたびたび掘り返すことなくメンテナンスを行えるという利点がある。一方で、初期の建設コストが非常に高額であるため、都市部を中心に部分的な普及にとどまっている。

大規模な共同溝のなかには、作業員が歩いて入れる空間を持つものや、さらには車両の通行が可能な巨大な断面を持つものも存在する。こうした大規模施設の建設には、地下鉄の建設工事と同等規模の多額のコストがかかる。
関連する施設とシステム
電気や光ファイバーなどの電線類のみを収容する構造の小型の施設は電線共同溝と呼ばれ、日本の法令では「電線の設置及び管理を行う二以上の者の電線を収容するため道路管理者が道路の地下に設ける施設」と規定されている(電線共同溝の整備等に関する特別措置法第2条第3項)。これらは歩道下などに設置されることが多く、すべての電線類を地中に埋設した連続したU字溝状の「CABシステム(CAble Box)」や、種類ごとに別々の管路を埋設し接続部のみを統合した「C.C.BOX(Communication Cable BOX)」などの方式で建設される。
また、道路管理者が監視カメラの通信用など自らの管理目的で敷設した光ファイバーを「情報BOX(情報ボックス)」と称し、その一部を民間に開放することで電線共同溝と同様の効果を生み出している事例もある。

ヨーロッパにおける歴史と背景
ヨーロッパの都市では、元来は上下水道などの排水・給水目的で地下道が発展したが、今日ではガスや電気、光ファイバーといった近代的なライフラインもあわせて通されている。ヨーロッパの都市部では日本のような電柱が古くからあまり見られなかったが、これは道路に面していない家屋の側壁や屋根裏などを経由して地域へ配電していたためである。しかし、古い配電方式における絶縁不良などが原因の火災がしばしば問題視されたことが、地中化を積極的に進める要因の一つとなった。なお、ヨーロッパでも郊外や農村部では電柱による配電が広く見られる。
安全保障とテロ対策
社会インフラを網羅する共同溝は、ひとたび事故や攻撃を受けると都市機能や経済活動に甚大な影響を及ぼすため、軍事面やテロ対策の観点からも重要視されている。
韓国においては、首都ソウル中心部の汝矣島で発生した地下共同溝の火災事故により多数のインフラが同時に機能停止に陥った事例があり、国家重要施設として分類されている。首都防衛司令部所属の防御部隊が配置され、センサーやテレビカメラによる24時間体制の監視および定期的な訓練が実施されている。
日本国内においても、アメリカ同時多発テロ事件以降のテロ対策強化の流れの中で、主要な会議場などの周辺地域にある共同溝が管理および警備の強化対象に指定されている。
よくある質問
共同溝を設置する主なメリットは何ですか?
電線共同溝とは何ですか?
共同溝がテロ対策や軍事面で重視されるのはなぜですか?
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参考文献
- 浅井建爾 『道と路がわかる辞典』 日本実業出版社、2001年、199頁。
- “一度の攻撃で経済がまひ…「大韓民国の急所」地下共同溝”. 中央日報 (2018年11月26日). 2020年8月4日閲覧。
- “国土交通省の主なテロ対策(平成25年12月時点)”. 国土交通省 (2013年12月). 2020年8月4日閲覧。