化学
吸熱反応の基礎知識と熱力学的特徴
吸熱反応の定義や熱力学的背景、化学反応および物理変化における具体例について詳しく解説する百科事典記事です。
📌 主なポイント
- ✓吸熱反応は、周囲から熱エネルギーを吸収する化学反応や核反応を指す。
- ✓定圧過程における吸熱反応はエンタルピー変化が正(ΔH > 0)となる。
- ✓エントロピー変化や温度条件によっては、吸熱反応であっても自発的に進行する場合がある。
吸熱反応(きゅうねつはんのう、英語:endothermic reaction)とは、周囲から熱エネルギーを吸収する化学反応、または核反応のことである。化学反応における負の反応熱を伴う現象であり、広義には相転移や溶解、混合といった物理変化における吸熱現象も含めて指されることがある。対義語は発熱反応である。
原因とメカニズム
反応や物理変化に伴う熱の出入りは、各段階におけるエネルギー変化の総和によって決まる。相転移による熱の吸収は、分子間力や水素結合、イオン結合などによって束縛されていた粒子がエネルギーを得て、より自由に運動できるようになることにおもに起因する。化学反応においては、分子内の共有結合の組み替えや電子状態の変化に伴ってエネルギーが吸収される。
熱力学的な性質
熱力学において、系外から系内へ移動する熱量をQとした場合、吸熱反応はQ > 0(反応熱は負)と表される。定圧過程においては、熱の移動はエンタルピーの変化量であるΔHと等しいため、吸熱反応ではΔH > 0となる。断熱過程において吸熱反応が起こると、系の温度は低下する。
化学反応や物理変化が自発的に進行するかどうかは、ギブズエネルギーの変化(ΔG)によって決定される。定温定圧過程におけるギブズエネルギーの変化は次式で表される。
ΔG = ΔH - TΔS
吸熱反応(ΔH > 0)であっても、エントロピー変化ΔSが十分に大きく、温度Tが高い条件ではΔG < 0となり、自発的に進行することがある。そのため、多くの吸熱化学反応は高温に加熱することによって進行しやすくなる。
主な例
吸熱を伴う現象には、化学反応および物理変化の双方が存在する。
- 化学反応:多くの熱分解反応、植物の光合成など。
- 物理変化:氷の融解や水の蒸発などの相転移、一部の物質の水への溶解(尿素や糖アルコールなどの溶解に伴う冷却現象)。
よくある質問
吸熱反応と発熱反応の違いは何ですか?
吸熱反応は周囲から熱エネルギーを吸収する反応(エンタルピー変化が正)であるのに対し、発熱反応は周囲へ熱を放出する反応(エンタルピー変化が負)です。
吸熱反応は常に自発的に進まないのですか?
必ずしもそうではありません。吸熱反応は一般にエンタルピー変化が正ですが、温度とエントロピー変化の条件(ΔG = ΔH - TΔS < 0)を満たす場合、あるいは高温に加熱された場合には自発的に進行することがあります。
物理変化における吸熱の例にはどのようなものがありますか?
氷の融解や水の蒸発などの相転移や、特定の溶質(尿素など)が水に溶解する際の吸熱現象が挙げられます。
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参考文献
化学辞典および一般的な熱力学の基礎文献に基づく。