Lab色空間の基礎知識と構造

📌 主なポイント
- ✓Lab色空間は、人間の視覚特性や知覚的均等性を考慮して設計された補色空間である。
- ✓主にリチャード・S・ハンターが提案した「Hunter Lab」と、国際照明委員会が策定した「CIELAB(CIE 1976 L*a*b*)」の2種類が存在する。
- ✓CIELABでは、L*が明度を、a*が赤・緑成分を、b*が黄・青成分をそれぞれ表す3次元の座標系で色を定義する。
Lab色空間(エル・エー・ビーいろくうかん、英: Lab color space)は、人間の視覚特性に近づけて設計された補色空間の一種である。明度を表す次元Lと、色度を表す2つの補色次元aおよびbによって構成されており、マスターの色空間であるCIE 1931 XYZ色空間の座標を非線形に圧縮・変換することに基づいている。
歴史的および現代的な文脈において、「Lab」と呼ばれる色彩空間には主に2つの種類が存在する。1つは1948年にリチャード・セウォル・ハンター(Richard S. Hunter)によって提案されたHunter Lab色空間であり、もう1つは国際照明委員会(CIE)が1976年に策定したCIE 1976 (L, a, b) 色空間(一般にCIELABと呼ばれる)である。単に「Lab」と記述した場合には曖昧さが生じるため、実装や用途の違いに注意する必要がある。
知覚的均等性と基本構造
CIE 1931 XYZ色空間はどの分光強度分布が同じ色として知覚されるかを予測できる一方で、知覚的均等性を持っていなかった。これに対し、マンセル表色系に強く影響を受けて開発されたLab色空間は、XYZ空間から単純な式で変換でき、かつ知覚的に均等となるように設計されている。
「知覚的均等性」とは、色の数値が同じだけ変化したとき、人間が視覚的に感じる色の変化の度合いも等しくなる性質を指す。これにより、有限精度の値で色を表現する際の色合いの再現性が向上している。ただし、Lab値は絶対的な色を定義するものではなく、特定のホワイトポイント(基準となる白色)を指定した上での相対的な値として定義される。
CIELAB(CIE 1976 Lab)
CIELABは、国際照明委員会が人間の目で見えるすべての色を記述し、機器固有モデルの基準として利用できるように意図して策定したほぼ完全な色空間である。
CIELABの3つの座標は以下の要素に対応している。
- L: 色の明度(L = 0 は黒、L = 100 は白の拡散色を表す)
- a: 赤/マゼンタと緑の間の位置(負の値は緑寄り、正の値はマゼンタ寄り)
- b: 黄色と青の間の位置(負の値は青寄り、正の値は黄色寄り)

赤/緑と黄/青の補色チャネルは錐体細胞の反応の差異として計算されるため、CIELABはクロマティック・バリュー(Chromatic Value)色空間に分類される。また、Labモデルは3次元空間での表現が必須であり、2次元平面上に描画された色度図はあくまで概念を理解するための補助に過ぎない。

Hunter Lab 色空間
Hunter Labは、1948年にRichard S. Hunterによって発表された初期のL, a, b色空間である。座標軸としてL、a、bを使用しており、明度Lの計算にはマンセル値に対するプリースト(Priest)の近似と、Y三刺激値の平方根を用いている。既存のHunter Lab値との互換性を維持するなどの特殊な目的を除き、現代ではCIELABの使用が推奨されている。
画像編集およびソフトウェアにおける利用
Lab色空間は、RGBやCMYKといったデバイス依存のカラーモデルとは異なり、人間の視覚特性を強く意識して設計されている。L成分は人間の明度知覚に極めて近いため、コントラストの調整やカラーバランスの精密な補正において利用される。
国際カラーコンソーシアム(ICC)のプロファイル接続空間や、Adobe Photoshopなどの画像編集ソフトにおける「Labモード」では、主にCIELAB(D50ホワイトポイント)が標準的に採用されている。また、TIFFやPDFといったファイルフォーマットの仕様書においても、色空間の基準としてCIELABが組み込まれている。
よくある質問
Lab色空間とは何ですか?
CIELABとHunter Labの違いは何ですか?
Lab色空間におけるL*、a*、b*の範囲はどうなっていますか?
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参考文献
- Hunter, Richard Sewall (July 1948). “Photoelectric Color-Difference Meter”. JOSA 38 (7): 661.
- Hunter, Richard Sewall (December 1948). “Accuracy, Precision, and Stability of New Photo-electric Color-Difference Meter”. JOSA 38 (12): 1094.
- International Color Consortium, Specification ICC.1:2004-10 (Profile version 4.2.0.0) Image technology colour management — Architecture, profile format, and data structure, (2006).
- Margulis, Dan (2006). Photoshop Lab Color: The Canyon Conundrum and Other Adventures in the Most Powerful Colorspace. Berkeley, Calif. : London: Peachpit ; Pearson Education. ISBN 0321356780.
- János Schanda (2007). Colorimetry. Wiley-Interscience. p. 61. ISBN 9780470049044.