技術・照明器具

ランプ(燃料式照明器具)の歴史と構造

ランプ(燃料式照明器具)の歴史と構造
電気普及前に広く使われた燃料式照明器具ランプの歴史、石油ランプの構造、カンテラやランタンの種類について解説する百科事典記事。

📌 主なポイント

  • ランプは電気・油脂・ガスによる光源と保護装置を持つ照明器具である。
  • 石油ランプは金属製またはガラス製の油壺に灯芯を差し込み、ガラスの火屋で囲う構造を持つ。
  • 日本では明治時代に石油ランプが広く普及し、生活様式に合わせて独自の進化を遂げた。

ランプは、電気・油脂・ガスによる光源と、笠やホヤなどの保護装置を備えた照明器具である。英語圏では固定式や据え置き式のものを指し、携帯式のものはランタン(lantern)と呼ばれる。日本ではかつて洋灯(ようとう)とも呼ばれていた。

卓上用の石油ランプ
卓上用の石油ランプ。本来の燃料は灯油だったが、現在は安全性にすぐれ煤や臭いも少ない専用の「ランプオイル」も使われる。

燃料と構造

液体燃料を用いるものは油や固形燃料、ガス燃料などを利用し、油灯、アルコールランプ、ガスランプなどと呼ばれる。発光部と燃料タンクが一体化した構造が多い。ガスランプの場合は、圧縮ガスを蓄えるタンクを接続するか、外部からガス管で供給する構造をとる。

古代地中海世界のオイルランプ(レプリカ)
古代地中海世界の オイルランプ ( レプリカ )

ランプの原形は、粘土を焼いた皿に植物油などを注ぎ、灯心を載せて火を灯すものであった。燃料には魚油やオリーブ油などの植物油が用いられ、近代には鯨油なども使われた。石油が採掘されるようになると、ランプの燃料は灯油に置き換わっていった。

中国の連枝燈
中国の 連枝燈

石油ランプの普及と日本における歴史

石油ランプは、石油を入れた油壺に口金と灯芯を差し込み、燃焼部をガラス製の「火屋(ほや)」で囲って風を防ぐ構造である。灯芯はねじで上下させる仕組みになっていた。一般にロウソクよりも安価であったため、貧しい家庭の照明として普及した。

日本で使用されていたハリケーンランタン
日本で使用されていたハリケーンランタン

日本には万延元年(1860年)頃に伝わり、明治時代に入ると急速に普及した。明治15年(1882年)頃にはいわゆる「ランプ亡国論」が唱えられるなど、社会的な議論の対象にもなった。日本の生活様式に合わせて「座敷ランプ」や「吊りランプ」といった形態が作られ、平芯の太さに応じて様々な種類が製造された。

カンテラとランタン

労働現場などで用いられた携行用のランプは、日本では「カンテラ」と呼ばれることが多い。オランダ語のKandelaarに由来し、海運や鉄道などの交通現場では信号や合図用の灯具として用いられた。また、鉱山等で使われるアセチレンガスなどを燃料とする灯火もカンテラと称される。

カンテラ(明治~大正時代)
カンテラ(明治~大正時代)

ランタンは、手で提げて運べるランプの一種であり、現代ではアウトドアや非常用として広く利用されている。

LEDを使用するソーラーランタン
LEDを使用するソーラーランタン

よくある質問

ランプとランタンの違いは何ですか?
英語圏では固定式や据え置き式のものをランプと呼び、手で提げて持ち運ぶものをランタンと呼びます。
日本に石油ランプが伝わったのはいつですか?
万延元年(1860年)頃に日本へ伝わり、慶応年間から明治時代にかけて一般家庭へしだいに普及しました。

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参考文献

佐田介石は『東京日日新聞』1880年7月16日に「ランプ亡国の戒め」を掲載し、国産品を擁護した。