最終氷期における地球環境と気候変動の概要

📌 主なポイント
- ✓最終氷期はおよそ7万年前に始まり、1万年前に終了した。
- ✓およそ2.1万年前の最寒冷期(LGM)には、世界各地に巨大な氷床が発達した。
- ✓大量の水分が氷として陸上に固定された結果、海面が現在より約120メートル低下した。
最終氷期(さいしゅうひょうき、英語: Last Glacial Period)とは、およそ7万年前に始まり1万年前に終了した、地球上における最も新しい氷期を指す地質学的・気候学的な時期である。この時代は数ある氷期の中でもとりわけ詳細な研究が進められており、気温の推移、大気や海洋の状態、さらには海水準低下によって変化した当時の海岸線などの復元が進められている。
名称と時代区分
一般に「氷河期」という言葉が使われる際、この最終氷期を指しているケースが多い。地域ごとの呼称として、ヨーロッパではヴュルム氷期、北アメリカではウィスコンシン氷期と呼び分けられる。また、地球上で最も氷床が大きく拡大したおよそ2.1万年前の時期は、最終氷期の最寒冷期(あるいは最終氷期最盛期、Last Glacial Maximum、略称: LGM)と呼ばれている。

最終氷期最寒冷期の環境
氷河作用の影響を受けた地域
最寒冷期には、ヨーロッパ北部全域、カナダのほぼ全域、そして西シベリア平原の北半分などが巨大な氷床に覆われていた。北アメリカのローレンタイド氷床はその南限が五大湖周辺に達し、ユーラシア西部のスカンジナヴィア氷床は東ヨーロッパにおいてライン川河口からクラクフ、ロシアではモスクワ付近まで広がっていた。南半球においても、南米パタゴニアの南部などで大規模な氷床や山岳氷河が形成された。
一方で、東アジア北部やアラスカの一部などでは、高地を除いて大規模な氷河化が見られなかった。これには、親潮がベーリング陸橋に遮られていたことや、冬の降水量が少なく氷河を形成するだけの降雪が十分に起こらなかったことなどが要因として挙げられている。
乾燥地域と植生の変化
当時の温暖な地域や低緯度地域では、気候の乾燥化が著しく進行した。熱帯雨林は大きく縮小し、アマゾン川流域や西アフリカではサバナや草原が広がって森林が分断されるなど、現在の植生とは大きく異なる環境が形成されていた。また、オーストラリア大陸の大部分は移動する砂丘に覆われていた。
海水準低下とその影響
大陸氷床や氷河の発達によって地球上の水が陸上に固定された結果、世界中の海面が現在よりも約120メートル低下した。これにより、陸地と海洋の境界線が大きく移動した。
東南アジアでは現在の浅い海域が広大な陸地(スンダランド)となり、アジアと北アメリカの間にはベーリング陸橋が出現した。日本列島周辺においても、北海道や樺太がユーラシア大陸と陸続きになり、瀬戸内海や東京湾の大部分が陸化するなど、現在の日本周辺の地理的環境とは大きく異なる状況にあった。
気候変動
最終氷期は一様に安定した寒冷期が続いたわけではなく、実際には短い周期で激しい気候変動を繰り返していたことが分かっている。氷期から現在の完新世へ移行する過程では、ヤンガードリアス期と呼ばれる急激な寒の戻りが発生し、短期間のうちに気温が大きく変動した事例などが確認されている。
よくある質問
最終氷期とはいつの時代ですか?
最終氷期の最寒冷期(LGM)とは何ですか?
海水準は約どのくらい低下しましたか?
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参考文献
- 国立天文台 編『理科年表』丸善
- 各種地質学・気候変動に関する学術文献および公式資料