地理学・測地学
緯度:地球上の位置を示す座標系

緯度の定義、地理緯度や地心緯度などの種類、および測地学における重要性について解説します。
📌 主なポイント
- ✓緯度は天頂方向と赤道面とのなす角度で定義される。
- ✓地球が回転楕円体であるため、地理緯度や地心緯度など複数の定義が存在する。
- ✓1海里は緯度1分の距離を基準に定義されている。
緯度(いど、英語: Latitude)は、地球表面上の位置を示す地理座標系の一つであり、ある地点における天頂方向と赤道面とのなす角度で定義されます。赤道を0度とし、北極を北緯90度、南極を南緯90度として表します。
緯度の定義と表現
緯度は一般的に度・分・秒で表記され、ISO 6709では北緯をプラス、南緯をマイナスで示します。同じ緯度の地点を結んだ線を緯線と呼び、赤道に平行な円となります。太陽の直射範囲を示す回帰線や、極圏の境界線もこの緯度に基づいて定義されています。
緯度の種類
地球は完全な球体ではなく回転楕円体(扁球)であるため、定義の基準によって複数の緯度が存在します。
地理緯度 (Geographic Latitude)
地球楕円体面における法線と赤道面とのなす角度です。単に「緯度」と呼ぶ場合は通常この地理緯度を指します。
地心緯度 (Geocentric Latitude)
地球の重心と対象地点を結ぶ直線が、赤道面となす角度です。地理緯度とは最大で約11分33秒の差が生じます。

その他の緯度
測地学や地図投影法の目的により、以下の緯度も用いられます。
- 更成緯度 (Reduced Latitude):地球楕円体を長半径に等しい球に射影した際の緯度。
- 正積緯度 (Authalic Latitude):面積を保存する写像のための緯度。
- 求長緯度 (Rectifying Latitude):赤道からの子午線弧長に基づく緯度。
- 等長緯度 (Isometric Latitude):メルカトル図法などで用いられる、経線と緯線方向の微小距離を等しくするための緯度。
- 正角緯度 (Conformal Latitude):等角写像を与えるための緯度。
測地学における歴史的背景
緯度の定義は測地系に依存します。かつて日露戦争後のポーツマス条約において「北緯50度」を国境線と定めた際、当時の測地系と天文緯度の解釈の差異により、現地測量で約200メートルのずれが生じた事例があります。このように、緯度は単なる角度以上の測地学的な精度を伴う概念です。
よくある質問
地理緯度と地心緯度の違いは何ですか?
地理緯度は楕円体面の法線と赤道面とのなす角ですが、地心緯度は地球の重心と地点を結ぶ直線と赤道面とのなす角です。地球の扁平率により両者には最大で約11分33秒の差が生じます。
緯線とは何ですか?
地球上で同じ緯度を持つ地点を結んだ線のことです。赤道に平行な円となります。
緯度はどのように表記されますか?
度・分・秒で表され、ISO 6709規格では北緯をプラス、南緯をマイナスで表記します。
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経度測地系地球楕円体メルカトル図法地理座標系
参考文献
- 河瀬和重「地心緯度を介した正角緯度と地理(測地)緯度との関係について」『国土地理院時報』第134巻、2021年。
- Cayley, A. (1870): On the geodesic lines on an oblate spheroid, Philosophical Magazine.
- 国土地理院「地理院地図の面積計算式」
- 理科年表(2014年版)地学部「地球楕円体に関する計算式」