物理学
統計力学におけるエネルギー等配分の法則の概要と適用例

統計力学におけるエネルギー等配分の法則の基本概念、熱平衡状態における自由度ごとのエネルギー分配、単原子および二原子分子理想気体への適用例を解説。
📌 主なポイント
- ✓エネルギー等配分の法則は、熱平衡状態にある系の自由度ごとに一定量のエネルギーが配分されるとする統計力学の法則である。
- ✓古典的な系において、1自由度あたりの平均エネルギーは kBT / 2 で与えられる。
- ✓単原子分子理想気体の平均エネルギーは 3kBT / 2 となる。
- ✓二原子分子理想気体では並進と回転の自由度が加わり、平均エネルギーは 5kBT / 2 となる。
エネルギー等配分の法則(エネルギー等配分則、エネルギー等分配則などとも呼ばれる)は、古典統計力学において、熱平衡状態にある系の持つ自由度ごとに一定量のエネルギーが配分されることを示す法則です。
基本原理と数式表現
古典力学および古典統計力学が成り立つ理想的な系を想定します。系全体のハミルトニアンを H とし、相空間の座標の1つの成分(一般化座標または一般化運動量)を ξj とします。H の項のうち ξj が関係する部分 εj が次のような二次形式で表されると仮定します。

ここで、αj は正の定数です。熱平衡状態において、このエネルギー εj の統計的平均値は次式で表されます。

ここで、kB はボルツマン定数、T は絶対温度です。すなわち、理想的な系の熱平衡状態では、1自由度あたりに平均で kBT / 2 の運動エネルギーが割り振られ、調和振動子とみなせる自由度についてはポテンシャルエネルギーも同様に割り振られます。
適用限界
エネルギー等配分の法則は、エネルギーが二次形式で表現できる場合に成り立ちます。しかし、量子力学的な効果が顕著になる極低温の領域や、非調和項が無視できない場合には、この古典的な法則は成立しなくなります。
具体的な適用例
単原子分子理想気体
単原子分子理想気体の個々の分子のエネルギーは、分子の質量を m として次のように表されます。

3次元空間の x, y, z 各座標の運動量に対応する3つの自由度が存在するため、平均エネルギーは次のようになります。

二原子分子理想気体
二原子分子の場合、並進運動の自由度に加え、回転に関する自由度(角度成分)が加わります。

並進運動の3つの自由度と回転運動の2つの自由度を合わせて合計5つの自由度を持つため、平均エネルギーは次のようになります。

よくある質問
エネルギー等配分の法則が成り立たない条件は何ですか?
量子力学的な効果が顕著になる場合や、エネルギーの式に非調和項が含まれて無視できない場合には成立しなくなります。
単原子分子の自由度はいくつですか?
空間の3次元方向の運動に対応して、合計3つの自由度を持ちます。
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参考文献
日本物理学会編『物理学辞典』培風館。
統計力学の基礎に関する標準的な教科書。
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