社会科学

外国人の法的地位と人権保障の国際的動向

外国人の法的地位と人権保障の国際的動向
外国人の定義、法的地位、国際法および各国法制度における人権保障の変遷について解説する百科事典記事。

📌 主なポイント

  • 外国人とは、ある国家の国民から見て、その国家の国籍を有しない者を指す法的な総称である。
  • 1966年の自由権規約では、参政権や公務就任権は「市民」の権利とされ、原則として外国人は対象外とされている。
  • 日本国籍法では、日本国民でない者を外国人として位置づけており、在留管理上は永住者や定住者などの区分が存在する。

外国人(がいこくじん、英語: alien, foreigner)とは、ある国家の国民から見て、その国家の国籍を有しない者の法的な総称である。日常語では「外人」とも呼ばれる。

外国人に関する法制度や概念を象徴するイメージ
外国人に関する法制度や概念を象徴するイメージ
権利の基盤と分類

居住国の市民権を持たない者の権利の基盤は、その性格や保護の根拠によっていくつかの概念に分類される。具体的には、私的所有物の不当な没収などを受けた際に出身国政府が外交的保護権の行使として保護を求める「対外的市民権」、市民権を持たない居住者にも保障される「外国人の権利」、永住市民権保持者に認められる「定住外国人の権利」、そして人間として保障される「普遍的人権」などが挙げられる。

歴史的変遷

18世紀後半のフランス人権宣言やアメリカ合衆国憲法の権利章典は、外国人の人権も含めて「人権」を広く規定する立場をとった。しかし、近代における国民国家の成立やナショナリズムの高揚に伴い、19世紀に制定された多くの憲法では、自国の国民(共和制における市民、君主制における臣民)の権利を手厚く保障する傾向が強まった。

第二次世界大戦後は、戦下の悲惨な経験への反省から、人間の尊厳に基づく人権を追求する傾向が強まり、国際社会において人権保障の枠組みが模索されるようになった。1966年の「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)はおおむね「すべての人」の権利を定める一方、参政権や公務就任権については「市民」の権利として位置づけ、原則として外国人には保障していない。ただし、永住者などに一定の参政権を保障している国もあり、自由権規約委員会ではその状況の定期報告を求めている。

また、1985年には国連で「在住する国の国民でない者の人権宣言」が採択されたが、これは宣言にとどまり法的拘束力は持たない。1990年には「すべての移住労働者とその家族の権利の保護に関する国際条約」が制定されたが、発効には10年以上を要し、主に労働者の送り出し国を中心に批准されている。

各国の法制度における位置づけ

外国人の定義や受け入れ制度は国によって異なる。イギリスでは国籍法において生地主義を基本としつつ、1981年英国国籍法以降はイギリス本土生まれであっても両親が本土生まれのイギリス国籍者または定住者である場合に市民権が付与される制度となっている。

ドイツでは、法制度上、EU加盟国の国籍を持つEU市民と、それ以外の国籍を持つ第三国国籍者に分けられている。ドイツ滞在法に基づき、ドイツ基本法におけるドイツ人の定義に該当しない者が外国人として扱われる。

日本においては、国籍法第4条において「日本国民でない者」と定義されている。また、国内法上の在留資格においては「永住」と「定住」が区別され、さらに永住者の中には一般永住者と特別永住者が存在する。

よくある質問

外国人とはどのような人を指しますか?
ある国家の国民から見て、その国家の国籍を有しない者のことを指します。
外国人に参政権は保障されていますか?
国際的な人権規約において、参政権や公務就任権は「市民」の権利とされており、原則として外国人には保障されていませんが、一部の国では永住者等に限定的な参政権を認めている場合もあります。
日本における外国人の定義は何に基づいていますか?
日本の国籍法第4条において「日本国民でない者」と規定されており、これが法律上の外国人としての基本的な定義となります。

関連記事

国籍市民権永住権出入国管理移民帰化

参考文献

  • 柄谷利恵子「国境を越える人と市民権 グローバル時代の市民権を考える新しい視座を求めて」『社会学評論』第56巻第2号、日本社会学会、2005年、309-328頁。
  • 近藤敦「外国人(移民)と人権」外務省、2023年。
  • 国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号) - e-Govポータル。