エネルギー資源

褐炭の特性と利用

褐炭の特性と利用
褐炭の定義、燃料としての特性、環境への影響、および日本における歴史的利用について解説します。

📌 主なポイント

  • ✓褐炭は石炭化度が最も低い石炭であり、水分含有量が多い。
  • ✓輸送効率と熱エネルギー効率が低いため、採掘地付近での発電利用が一般的である。
  • ✓日本国内では戦中・戦後の燃料として利用されたが、無計画な採掘による廃坑の陥没が社会問題となっている。

褐炭(Lignite)は、石炭化度が最も低い石炭の一種です。米国ASTMや日本産業規格(JIS)では、石炭を褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭、無煙炭の4種に分類しており、褐炭はその中で最も炭素含有量が少なく、水分を多く含みます。地質学的には亜炭とも呼ばれ、続成作用を強く受けていないため、木片の組織がそのまま残っていることもあります。

燃料としてのエネルギー効率は低く、水分含有量が高いため輸送コストがかさむという課題があります。また、自然発火の危険性や乾燥時の粉塵爆発のリスクがあるため、保管や輸送にはブリケット加工などの対策が必要です。そのため、採掘地付近に火力発電所を建設し、直接燃料として利用するケースが多く見られます。

ブリケット加工された褐炭
ブリケット加工された褐炭。

環境負荷の大きさも重要な問題です。露天掘りによる景観破壊や、燃焼時の二酸化炭素排出量の多さが指摘されており、欧州などでは採掘の段階的削減が進められています。一方で、世界の石炭埋蔵量の多くを占める資源であるため、水分除去技術や石炭ガス化複合発電などの効率化に向けた研究も行われています。

ドイツの褐炭露天掘り風景
ドイツ・ハンバッハでの褐炭露天掘り風景。

日本国内では、明治時代から1950年代にかけて家庭用燃料として広く利用されました。特に戦中・戦後の燃料不足時には、仙台市や名古屋市などの都市部でも盛んに採掘が行われました。しかし、無計画な採掘による廃坑の陥没事故が各地で問題となっています。燃料以外の用途としては、石油掘削時の泥水添加剤や、黒玉(ジェット)として工芸品の材料に用いられることがあります。

よくある質問

褐炭と亜炭の違いは何ですか?
地質学的には同じものを指しますが、炭素含有量によって区別される場合や、褐炭のうち品質の低いものを亜炭と呼ぶ俗称として使われることがあります。
なぜ褐炭の輸送は難しいのですか?
水分が多く重いうえに、自然発火や粉塵爆発のリスクがあるため、輸送にはブリケット加工などの特別な対策が必要です。
日本で褐炭は現在も利用されていますか?
かつては主要な家庭用燃料でしたが、現在は燃料としての利用はほとんど行われていません。過去の採掘による廃坑の管理が課題となっています。

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参考文献

  • 朝日新聞. (2017年6月5日).
  • 第057回国会石炭対策特別委員会亜炭に関する小委員会第2号. 国立国会図書館. (1967年12月26日).
  • エネルギー研究 2005. ドイツ連邦地球科学天然資源研究所(BGR).
  • 八木山エリア「亜炭鉱・埋木細工」~人の欲の上に~. 東北記録映画社. (2012年8月8日).
  • 埋木細工. コトバンク.