地盤の液状化現象のメカニズムと予測手法

📌 主なポイント
- ✓液状化現象は、地震などの振動により地下水位の高い砂地盤が間隙水圧の上昇によって有効応力を失い、液体状の性質を示す現象である。
- ✓1964年の新潟地震やアラスカ地震における甚大な被害を契機に、土質力学および地盤工学の分野で本格的な研究が進められた。
- ✓液状化の発生判定には、標準貫入試験のN値や粒度分布、およびFL値(液状化抵抗率)を用いた簡便法などが広く利用されている。
- ✓傾斜地や護岸周辺の地盤で液状化が起きると、泥水状の地盤が水平方向に移動する「側方流動」が発生し、杭基礎等に深刻な被害を与える。
液状化現象(えきじょうかげんしょう)は、地震の際に地下水位の高い砂地盤が激しい振動を受けて液体状の性質を示す現象です。単に液状化とも呼ばれ、土質力学や地盤工学の分野において重要な研究対象となっています。
この現象が発生すると、地盤が急激に支持力を失うため、比重の大きい構造物が沈下したり傾斜したりするほか、地下に埋設された比重の小さい下水道管などが浮き上がる被害を引き起こします。

発生プロセス
砂を多く含む砂質土や砂地盤は、砂の粒子同士の摩擦や剪断応力によって安定を保っています。このような地盤で地下水位が高い場所、あるいは何らかの要因で地下水位が上昇した場所に、地震動などの連続した振動が加わると、砂の粒子が組み替わって体積が減少しようとします。
水で満たされた間隙の体積が急激に圧縮されることで間隙水圧が増加し、地盤を支える有効応力が減少します。繰り返しの振動により有効応力がゼロに達したとき、地盤は完全に耐力を失い、流動的な状態へと変化します。また、表層に粘土質などの層が存在する場所では、液状化した砂と水が地表の弱点を突き破って噴出する「噴砂」と呼ばれる現象が観測されることがあります。
歴史的背景と被害
日本国内において液状化現象が広く知られる契機となったのは、1964年(昭和39年)6月16日に発生した新潟地震です。信濃川河畔や新潟空港周辺などで大規模な液状化が発生し、鉄筋コンクリート造の建物が折れたり潰れたりすることなく丸ごと沈下・転倒する被害が確認されました。同年に発生したアラスカ地震でも同様の被害が報告されたことで、国内外の土質力学分野において研究が活発化しました。

液状化の予測・判定手法
構造物を建設する際には、対象地の地盤で液状化が発生するかどうかを事前に評価する必要があります。評価手法には、実務で広く使われる「簡便法」と、数値解析を用いる「詳細法」があります。
簡便法(FL法など)
簡便法は、微地形区分、粒度分布、および応力法(FL法)などを用いて判定する手法です。応力法では、液状化に対する抵抗率であるFL値を算出し、これが1を下回るかどうかに基づいて判定が行われます。FL値は、地盤の液状化に対する抵抗力を表す強度 R と、地震動による外力 L の比(R / L)として計算されます。
詳細法
詳細法では、有限要素法などの数値解析を用いて、地震による外力の変化と地盤の変形挙動を時間経過とともに検討します。これには、地盤内の間隙水と土骨格の相互作用を直接考慮しない「全応力解析」と、相互作用を構成則に基づいてモデル化する「有効応力解析」が存在します。
側方流動
傾斜や段差のある地形で液状化現象が発生した場合、泥水状になった地盤が水平方向に移動する側方流動(ラテラル・スプレッディング)と呼ばれる現象が生じます。側方流動が発生すると、護岸や斜面に沿って地盤が動き、基礎杭に対して大きな水平力が加わるため、杭の剪断破壊や上部構造物の損壊を引き起こす原因となります。
よくある質問
液状化現象はどのような場所で発生しやすいですか?
FL値とは何ですか?
側方流動とはどのような現象ですか?
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参考文献
道路橋示方書・同解説 V耐震設計編 (平成29年11月) 日本道路協会、2017年。
建築基礎構造設計指針 一般社団法人日本建築学会、2019年。