水酸化リチウムの化学的性質と産業用途

📌 主なポイント
- ✓水酸化リチウムの化学式は LiOH で表されるアルカリ金属の水酸化物である。
- ✓工業的には炭酸リチウムと水酸化カルシウムを反応させて合成される。
- ✓二酸化炭素を効率的に吸収する特性を持ち、宇宙船や潜水艦などの環境制御システムで利用される。
水酸化リチウム(すいさんかリチウム、英語: lithium hydroxide)は、化学式が LiOH と表されるリチウムの水酸化物である。無水物は吸湿性を持つ白色の固体であり、水に可溶性で、その水溶液は強いアルカリ性を示し腐食性を持つ。エタノールにはわずかに溶け、無水物および一水和物の両方の形態で市場に流通している。
合成方法
純粋な酸化リチウム($ ext{Li}_2 ext{O}$)を水と反応させることによって得られる。

工業的には、炭酸リチウムを水酸化カルシウムと反応させる手法が用いられる。

また、金属リチウムを水と直接反応させることによっても水酸化リチウムが生成される。

この反応は非常に激しく発熱的であり、空気中で反応させると発生する水素が明るい炎をあげて燃焼するため注意が必要とされる。
物理的・化学的性質
固体はリチウムイオンと水酸化物イオンから構成されるイオン結晶である。他のアルカリ金属の水酸化物と比較して溶解度が低く、潮解性も弱いため塩基としての強度は相対的に低い。
水溶液から析出する固相は一水和物であり、加熱や五酸化二リンの作用による真空脱水によって無水物へと変化する。

さらに、他のアルカリ金属水酸化物よりも熱的に不安定であり、強熱によって水を失って酸化物に分解する。

固体および水溶液は二酸化炭素を吸収しやすい性質があり、比較的濃厚な水溶液に二酸化炭素を通じると炭酸リチウムの沈殿を生じる。
主な用途
水酸化リチウムは、蓄電池の電解質、写真の現像液、重合反応の触媒、セラミックスの原料として幅広く利用されている。また、ステアリン酸リチウムをはじめとする他のリチウム化合物の合成にも用いられ、ステアリン酸リチウムは耐水性や温度変化への耐性に優れた潤滑用グリースとして活用される。
加えて、優れた二酸化炭素の吸収剤としても機能する。宇宙船、潜水艦、循環式呼吸装置などにおいて、呼気に含まれる二酸化炭素を除去する目的で利用されている。