ローカルエリアネットワークの技術と歴史的背景

📌 主なポイント
- ✓LANは家庭やオフィス、工場などの近接した建物内で運用される私有ネットワークである。
- ✓1973年に米Xeroxパロアルト研究所でロバート・メトカーフらによってイーサネットが開発された。
- ✓IEEE 802委員会は1980年2月に発足し、可変サイズパケットを伝送するネットワークの検討を行った。
ローカル・エリア・ネットワーク(Local Area Network、略称: LAN)とは、家庭やオフィス、工場などの単一または近隣の建物の中で運用される私有ネットワークである。21世紀以降、構内配線で広く採用されており、日常的な情報処理を支えている。狭義にはイーサネットに代表される物理層とデータリンク層の技術方式・規格を指し、広義には家庭や企業で使用されるコンピュータネットワークや情報システム全体を指す場合がある。

概説
LANの標準化組織である米国電気電子技術者協会(IEEE)や国際標準化機構(ISO)での定義によると、LANには以下のような特徴がある。
- 限定された広がりをもつ地域で、コンピュータをはじめとする様々な機器の間で自由に情報交換ができる。
- 導入したユーザーが主体となって管理・運営する。
- 異なるベンダーで作成された機器をLANに接続でき、相互に通信可能である。
LANの歴史
LANの発祥の一つであるイーサネットは1973年に米Xeroxパロアルト研究所でロバート・メトカーフを中心に開発された。これに先立つ基となる研究として、1960年代中頃のパケット通信に関する研究や、1970年頃のハワイ大学におけるALOHAプロジェクトによる多重ランダムアクセス通信方式の研究がある。
1980年2月に可変サイズのパケットを伝送するネットワークに関する検討を目的としてIEEE 802委員会が発足した。その後、各規格の標準化が進められ、1983年にIEEE 802.3 10Base5が標準化され、1990年には10Base-T、1995年には100Base-TX、1999年には1000Base-Tが標準化されるなど、高速化に向けた技術開発と標準化が継続的に行われてきた。
トポロジーによる分類
トポロジー(形状)による分類では、スター型、バス型、リング型の3つに分類される。

- スター型LAN:中央に集線装置であるハブを置き、すべての端末を接続する形である。配置の変更が柔軟に行え、故障箇所の特定もしやすい。
- バス型LAN:バスと呼ばれる伝送路に接続する形であり、基幹ケーブルに端末がぶら下がるような形となる。


1990年代までは多様なトポロジーや伝送媒体が議論されていたが、LANスイッチの普及拡大により、現在ではほぼすべてがスター型配線に移行している。
伝送媒体による分類
各規格において使用する伝送媒体が定められており、主な例としては同軸ケーブル、ツイストペアケーブル(撚り対線)、光ファイバー、無線などが利用される。
| 標準名称 | 規格名称 | 伝送媒体 |
|---|---|---|
| IEEE 802.3 | 10Base5 | 外径9.5mm、特性インピーダンス50Ωの同軸ケーブル |
| IEEE 802.3a | 10Base2 | 外径5mm、特性インピーダンス50Ωの同軸ケーブル |
| IEEE 802.3i | 10BASE-T | カテゴリ3以上のツイステッド・ペア・ケーブル |
| IEEE 802.3u | 100Base-TX | カテゴリ5以上のツイステッド・ペア・ケーブル |
| IEEE 802.3ab | 1000Base-T | カテゴリ5e以上のツイステッド・ペア・ケーブル |