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ロッキード L-1011 トライスターの歴史と技術的特徴

ロッキード L-1011 トライスターの歴史と技術的特徴
ロッキード社が開発したワイドボディ3発ジェット旅客機「L-1011 トライスター」の歴史、先進的な技術、開発の背景や商業的背景について詳しく解説します。

📌 主なポイント

  • ロッキード L-1011 トライスターは、ロッキード社が開発・製造した同社唯一のワイドボディ3発ジェット旅客機である。
  • 初飛行は1970年11月16日に行われ、1972年4月にイースタン航空で運用が開始された。
  • エンジンにはロールス・ロイス製のRB211を採用したが、同社の経営破綻などにより開発と販売に大きな影響を与えた。
  • 最終的な生産数は全250機であり、このプログラムの終了をもってロッキード社は民間航空機事業から撤退した。

ロッキード L-1011 トライスター(Lockheed L-1011 TriStar)は、アメリカ合衆国の航空機メーカーであるロッキード社(現在のロッキード・マーティン社)が開発・製造した、同社唯一のワイドボディ3発ジェット旅客機である。「トライスター」の愛称は、エンジン3基をオリオン座の三ツ星に見立ててロッキード社が公式に名付けたものである。

開発の背景

ロッキードはかつてレシプロ機時代においてダグラス・エアクラフトと激しい競争を展開していたが、ジェット旅客機への移行期においてターボプロップ機の開発に注力したため、ボーイングの707やダグラスのDC-8といった後発のジェット機に対する遅れをとっていた。さらに、軍用輸送機C-5Aギャラクシーの開発における巨額のコスト超過や、L-188エレクトラの設計ミスに伴う事故などの影響により、同社の民間航空機メーカーとしての地位は大きく低下していた。こうした状況を打破し、起死回生を図るために開発されたのがL-1011 トライスターである。

先進的な技術と設計

トライスターは「早過ぎたハイテク機」と称されるほど、当時としては非常に革新的な技術が数多く盛り込まれていた。軍用機のトップクラスメーカーとしてのノウハウを活かしたカテゴリーIII対応の高度な自動操縦装置をはじめ、直接揚力制御(DLC)などの先端技術を採用していた。また、エンジンには静粛性と燃費性能に優れたロールス・ロイス製のRB211を採用し、客室環境の向上にも配慮された設計となっていた。

生産と商業的背景

1970年11月16日の初飛行を経て、1972年4月にイースタン航空で運用が開始された。しかし、エンジンの開発遅延や製造元のロールス・ロイス社の経営破綻といった深刻なトラブルに見舞われ、プロジェクトは多額の負債を抱えることとなった。イギリスおよびアメリカ両政府の支援により破綻は回避されたものの、ライバル機であるマクドネル・ダグラスのDC-10との激しい販売競争や、日本におけるロッキード事件などの政治的スキャンダルも絡み、商業的な成功を収めるには至らなかった。最終的に1981年の生産終了までに製造された機数は250機に留まり、ロッキードはこの事業からの撤退を余儀なくされた。

よくある質問

L-1011 トライスターの愛称の由来は何ですか?
エンジンが3基搭載されていることから、オリオン座の「三ツ星」にちなんでロッキード社が「トライスター」と公式に命名しました。
トライスターのエンジンにはどのメーカーのものが採用されましたか?
イギリスのロールス・ロイス社が開発した「RB211」エンジンが採用されました。
ロッキード社が民間航空機事業から撤退した理由は何ですか?
エンジンの開発遅延や資金難、ライバル機との激しい販売競争、さらには販売不振による巨額の赤字などが重なり、民間機の継続を断念するに至りました。

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参考文献

イカロス出版『旅客機型式シリーズ1 トライ・ワイドボディ・ジェット DC-10/MD-11 & L-1011』