生物学・解剖学

リンパ液の構造と生理学的特徴

リンパ液の構造と生理学的特徴
リンパ液の定義、細胞間質液との関係、リンパ管を通じた循環の仕組みや成分について解説する生物学的解説記事。

📌 主なポイント

  • リンパは毛細血管から浸出したアルカリ性の漿液性の液体である。
  • 広義のリンパは細胞間質液と管内リンパを含み、狭義にはリンパ管内の液を指す。
  • 消化管からのリンパは脂肪球を含み、乳白色を呈して乳糜と呼ばれる。
  • リンパ本幹には右リンパ本幹と胸管の2つの主要な流路がある。

リンパ(ラテン語: lympha、英: lymph)とは、毛細血管から組織へ浸出した、一般にアルカリ性の黄色を呈する漿液性の液体であり、血漿成分を主たる基盤としている。リンパ液とも呼ばれる。

胸管損傷時に採取されたヒトのリンパ液
胸管損傷時に採取されたヒトのリンパ液

定義と循環の仕組み

細胞間を流れる細胞間質液(間質リンパ)とリンパ管の中を流れるリンパ液は、その濃度や含有成分に違いがあるものの、本質的には同一の液体である。広義のリンパ液は細胞間質液と管内リンパの両方を含み、狭義のリンパ液はリンパ管内を流れる液体を指す。

血管内と血管外(細胞間質)の間にはタンパク質含有量の違いに起因する膠質浸透圧の差が存在する。細胞間質液中の水分は、この圧力差や筋肉の運動などによって調整され、分子量の大きなタンパク質やウイルスなどの異物とともにリンパ管へと吸収されて管内リンパとなる。

成分と特性

主な細胞成分はリンパ球であるが、末梢のリンパ管にはリンパ球はほとんど含まれず、リンパ節を経由するにつれてその数が増加する。また、消化管からのリンパ液は脂肪球を多く含むため乳白色を呈し、乳糜(にゅうび)と呼ばれる。生体外に取り出された場合、血液凝固因子であるプロトロンビンが含まれているために凝固する性質を持つが、血小板が含まれていないため血液に比べると凝固能力は低い。

リンパ本幹の経路

全身のリンパは最終的に主要な流路を経て静脈系へと合流する。主な流路には以下の2つが存在する。

  • 右リンパ本幹:右上半身のリンパを集める短いリンパ本幹であり、内頸静脈と鎖骨下静脈の合流部にある右静脈角で静脈に合流する。
  • 胸管:左上半身および下半身のリンパを集める管である。左右の腸リンパ本幹と腰リンパ本幹が第2腰椎の前方で合流して乳糜槽を形成し、それが上行して胸腔に入ることで胸管となる。

よくある質問

リンパ液の主な成分は何ですか?
血漿成分を基盤とし、リンパ球やタンパク質、電解質などを含んでいます。また、消化管からのリンパには脂肪球が含まれます。
乳糜とは何ですか?
消化管からのリンパ液が脂肪球を多く含み、乳白色を呈するもののことです。
リンパの流路にはどのようなものがありますか?
主に右上半身のリンパを集める右リンパ本幹と、左上半身および下半身のリンパを集める胸管の2つの流路があります。

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参考文献

日本獣医解剖学会編 『獣医組織学改訂第二版』 学窓社, 2003年. 獣医学大辞典編集委員会編 『明解獣医学辞典』 チクサン出版, 1991年.