マッデン・ジュリアン振動の気象学的特徴と地球規模の気候影響

📌 主なポイント
- ✓マッデン・ジュリアン振動(MJO)は、熱帯赤道域の上空で対流活動が活発な領域が約1〜2か月かけて東進する大気振動である。
- ✓その周期はおおむね30〜60日であり、「30-60日振動」や「赤道季節内変動」とも呼ばれる。
- ✓モンスーンの変動やエルニーニョ・南方振動(ENSO)の開始・終息、熱帯低気圧の発生頻度などに大きな影響を与える。
マッデン・ジュリアン振動(マッデン・ジュリアンしんどう、英: Madden-Julian Oscillation:MJO)とは、熱帯赤道域上空において対流活動が活発な領域が大気循環場をともないながら約1〜2か月かけて東方へ移動していく現象であり、地球規模の大気振動の一つである。
その周期はおおむね30日から60日程度であり、「30-60日振動」や「赤道季節内変動」とも称される。

現象の観測と物理的メカニズム
実際の天候としては、インド洋西部から太平洋西部にかけての熱帯域における降雨パターンの変動として現れる。この領域では日常的に積乱雲(雷雨)が多発しているが、その発生頻度や強度は上空の大気の状態に強く支配されている。
典型的な事例では、インド洋西部において「平年より降水の多い湿った領域」と「平年より降水の少ない乾いた領域」が対をなして出現する。これらは30〜60日程度の期間をかけてゆっくりと東方へ移動し、太平洋西部に達すると消散する傾向にある。なお、対流活動の弱い太平洋東部ではこの明瞭な変動が現れにくいが、稀に太平洋東部で消散せず大西洋を越えて地球を一周する場合も確認されている。
観測の際には、外向き長波放射(OLR)の強度を時間軸と経度軸で表現したり、赤道上空200hPaにおける速度ポテンシャルの偏差を用いたりすることで、その東進パターンが明瞭に捉えられる。東進速度はおおむね秒速4〜8メートル程度であり、赤道上空において最も顕著に観測される。
気候系および気象災害への影響
MJOは、地球上のさまざまな気候変動要素と密接に関連している。
モンスーンとの関連
MJOに伴う循環場は東進するだけでなく、時として北進や南進を示す成分を伴うことがある。こうした循環場は積乱雲群をともなって移動し、数日から十数日かけて特定地域を通過する。世界で最も顕著なモンスーン地帯とされるインド周辺のモンスーンも、MJOの北進に呼応して開始し、1〜2か月周期で強弱の変動を示す。
エルニーニョ・南方振動(ENSO)との相互作用
海洋と大気の相互作用を通じて、エルニーニョ現象の発生や終息に関与することが知られている。例えば、1997年から1998年にかけて発生した大規模なエルニーニョ現象においては、MJOが該当海域に差し掛かったことが契機となり、急速な終息へと向かったとする研究結果が発表されている。
熱帯低気圧の活動と異常気象
MJOの対流活動が活発な領域では、熱帯低気圧の発生が促進される傾向にある。また、北西太平洋(日本付近を含む)と北大西洋の間では、一方が熱帯低気圧の活動期にあるとき、もう一方は不活発になるという逆相関の傾向が見られることがあり、これもMJOの周期性と関連付けられて研究されている。アメリカ海洋大気圏局(NOAA)の国立ハリケーンセンター(NHC)や気候予報センター(CPC)では、ハリケーン等の予測における参照資料の一つとしてMJOの動向を活用している。
さらに、偏西風やジェット気流の蛇行、ブロッキング高気圧の形成などを介して、日本付近におけるいわゆる異常気象を引き起こす間接的な要因の一つとしても注目されている。
よくある質問
マッデン・ジュリアン振動(MJO)とは何ですか?
MJOはどのような周期で発生しますか?
MJOは世界の天候や気候にどのような影響を与えますか?
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参考文献
- Chris Landsea (2009年2月6日). “Subject: A15) How do tropical cyclones form?”. Atlantic Oceanographic and Meteorological Laboratory. 2008年6月8日閲覧。
- Climate Prediction Center (2004年7月8日). “Monitoring Intraseasonal Oscillations”. National Oceanic and Atmospheric Administration. 2009年11月6日閲覧。
- 気象庁. “1.1.3 日本の最近の異常気象に関連する大気大循環場の特徴”. 異常気象レポート2005.