水酸化マグネシウムの化学的性質と用途

📌 主なポイント
- ✓水酸化マグネシウムの化学式は Mg(OH)2 であり、式量は 58.32 である。
- ✓天然では水滑石(ブルース石)という鉱物として産出する。
- ✓固体は350℃で加熱分解されて酸化マグネシウムと水蒸気を生じる。
- ✓医薬品の便秘薬(緩下作用)や、く溶性マグネシウム肥料、廃水浄化の凝結剤として利用される。
水酸化マグネシウム(すいさんかマグネシウム、英: Magnesium hydroxide)は、化学式 Mg(OH)2、式量 58.32 のマグネシウムの水酸化物である。天然には鉱物として水滑石(ブルース石、Brucite)の形で産出する。密度は水の2.36倍であり、常温常圧では白色の固体あるいはゲル状として存在する。
物理的性質と化学的性質
マグネシウム塩の水溶液に炭酸塩を含まない水酸化ナトリウムなどの塩基水溶液を反応させると、無色のコロイド状沈殿として析出する。

オートクレーブ中でマグネシウム塩を含む塩基性水溶液を加圧下で220℃程度に加熱すると凝集が進み、六方晶系の結晶が得られる。水に対する溶解度は非常に小さく、水への溶解度は1.2 mg / 100 cm3である。その溶解度積は以下の通り示される。

飽和水溶液は pH = 10.5 程度の弱い塩基性を示す。

化学反応と分解
空気中において水酸化マグネシウムは、湿気の存在下で二酸化炭素を吸収し、塩基性炭酸マグネシウムを生成する性質がある。

酸で中和したマグネシウム塩水溶液の酸解離定数および第二段階塩基解離定数は一定の平衡状態を保つ。他のアルカリ土類金属(カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど)の水酸化物と比較して塩基性は弱いものの、水酸化鉄(II)や水酸化銅(II)などと比較すると強い塩基である。

水酸化マグネシウムの固体を加熱すると分解が始まり、350℃で水蒸気の解離圧が1気圧に達し、さらに赤熱することで酸化マグネシウムへと変化する。

また、希酸やアンモニウム塩の溶液には可溶であるが、水には難溶であり、濃アルカリには不溶である。酸やアンモニウム塩に対する溶解挙動は次のように表される。


用途
水酸化マグネシウムは、その緩下作用を利用して便秘薬などの医薬品として利用されている。また、酸に溶ける性質を持つことから、く溶性のマグネシウム肥料としても用いられる。その他、無機凝結剤として廃水の浄化処理などにも活用されることがある。