マングローブ:熱帯・亜熱帯の汽水域に広がる森林生態系

📌 主なポイント
- ✓マングローブは熱帯・亜熱帯の汽水域に生育する樹木の総称であり、その森林は高い炭素蓄積能力を持つ。
- ✓多くのマングローブ植物は、酸素不足の泥地に適応するため、呼吸根や胎生種子といった特異な形態や繁殖戦略を持つ。
- ✓日本における自然分布の北限は、鹿児島県種子島および屋久島周辺である。
マングローブ(mangrove)とは、熱帯および亜熱帯地域の河口や沿岸の汽水域、塩性湿地に生育する常緑の高木や低木の総称です。また、これらの樹木が形成する森林や植物群落そのものを指すこともあります。日本語では「紅樹(こうじゅ)」とも呼ばれ、その森林は「マングローブ林」や「紅樹林」と称されます。
分布と環境
マングローブ林は、主にオセアニア、東南アジア、インド亜大陸、アフリカ沿岸、および南北アメリカ大陸の熱帯・亜熱帯地域に広く分布しています。2016年時点の推定では、世界126の国や地域に約1520万ヘクタールの面積で存在しています。日本国内では、南西諸島全域および鹿児島県南部が自然分布の北限とされています。
マングローブ林は、波浪の影響が少なく、潮汐による干満がある泥質の干潟に成立します。泥の中は酸素が不足しやすいため、多くのマングローブ植物は「呼吸根」と呼ばれる特殊な根を地表に発達させ、酸素を取り込んでいます。
生態系の特徴
マングローブは「命のゆりかご」とも呼ばれ、極めて高い生産力を持つ生態系を維持しています。樹木が密生し、複雑な根系が発達することで、魚介類や甲殻類、鳥類など多様な生物に隠れ家や餌場を提供しています。また、マングローブ泥炭には豊富な炭素が蓄積されており、地球温暖化対策としての二酸化炭素吸収源としても国際的に重要視されています。
主要な構成植物
マングローブを構成する植物は世界で70〜100種程度存在し、特にヒルギ科、クマツヅラ科、ハマザクロ科の種が主要です。日本国内では、メヒルギ、オヒルギ、ヤエヤマヒルギなどが代表的です。
これらの植物の大きな特徴として「胎生種子」が挙げられます。これは、果実が親木についた状態で種子が発芽し、ある程度成長してから落下する仕組みです。これにより、海流に乗って分散し、泥地に定着しやすくなっています。
環境保全の現状
近年、沿岸開発やエビ養殖池の造成などを目的とした伐採が世界各地で問題となっています。マングローブ林の減少は、生物多様性の喪失だけでなく、海岸侵食や炭素吸収機能の低下を招くため、各地で植樹活動や保護区の設定が進められています。
よくある質問
マングローブとは何ですか?
なぜマングローブには特殊な根があるのですか?
胎生種子とはどのようなものですか?
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参考文献
- 藤本潔、宮城豊彦、西城潔、竹内裕紀子 編著『微地形学 人と自然をつなぐ鍵』(古今書院 2016年)
- 小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』
- 平凡社『世界大百科事典』第2版