マンホール(人孔)の構造・用途と安全管理に関する全情報

📌 主なポイント
- ✓マンホールは、地下の管渠の点検、調査、清掃、修繕などを行う人が出入りするための設備である。
- ✓蓋の形状が主に円形である理由は、蓋が穴の中に落下するのを防ぐためである。
- ✓マンホール内部では窒素や硫化水素などのガスが滞留することがあり、酸欠やガス中毒事故を防ぐための安全管理が不可欠である。
マンホール(英: manhole)は、地下の管渠(かんきょ)内で点検、調査、清掃、修繕などの維持管理を行う作業員が出入りするための設備である。地下の管渠の起点のほか、合流部、屈曲部、勾配や管径が変化する箇所、段差がある箇所、長い管の中間部などに設置され、管渠を接合して連絡する機能を持つ。専門的には「人孔」とも呼ばれ、例外的に人の出入りができない小型マンホールに分類されるものも存在する。

概要と構造
マンホールは一般的に斜壁、直壁、副管、底版などから構成され、通常は縦孔の構造をしている。ただし、直上に出入口を設置できない場合には、側方に歩道を開いて設置する側面人孔のような特殊な形態が採用されることもある。
下水道の管路施設における形状には円形と矩形があり、一般的な円形のものでは最小で内径90cm、120cm、150cmのものがあり、それぞれ1号、2号、3号マンホールと称される。また、マンホールの代用として設置される小型のものとして燈孔(ランプホール)があり、灯火や反射鏡を垂らして検査を行ったり、洗浄用のホースを通したり、換気を行ったりするために用いられる。寒冷地においては、街路の雪を下水渠に排雪するための雪孔が設けられることもある。
通信分野においては、通信ケーブルの敷設や接続などのために地下に設けられる上床版を有する10メートル未満の構造物を指し、10メートル以上のものは「とう道」と呼ばれて区別される。マンホールと比較して小型で上床版がないものはハンドホールと呼ばれる。
英語の「manhole」は「man(人)」と「hole(穴)」を組み合わせた語であるが、ポリティカル・コレクトネスの観点から、アメリカ合衆国カリフォルニア州サクラメントでは1990年以降、公的な名称として「メンテナンス・ホール (maintenance hole)」が使用されている。
用途
下水道施設
下水道におけるマンホールには、標準マンホール、組立マンホール、特殊マンホール、下水道用レジンコンクリート製マンホール、小型マンホールなどがある。材質としてはコンクリート製が多いものの、レジンコンクリートや塩化ビニル製のものも用いられている。
日本では、災害時に断水や家屋内トイレが損壊した場合、下水道に通じるマンホールを利用してトイレを設営する「マンホールトイレ」が開設される取り組みが行われている。
通信用施設
通信用のマンホールは建設工法により、現場で鉄筋コンクリートを打設する現場打ちマンホールと、分割したパーツを現場に持ち込んで組み立てるブロックマンホールに分類される。材質面では、鉄筋コンクリート製とレジンコンクリート製に分けられる。

マンホールの蓋
マンホールには地表開口部があり、通常は人が誤って転落しないよう蓋が設置されている。蓋は風による飛散、盗難、不正な侵入を防ぐ目的のほか、車両などの重量物が上を通っても耐えられるよう、主に鋳鉄などの鉄で作られている。形状が円形である主要な理由は、蓋が穴の中に誤って落ち込むのを防ぐためである。
蓋には、浮上防止、かぎ構造、転落防止などの機能が付加される場合がある。また、大量の雨水が流入した際に内部の空気を逃がすため、ガス抜き用の穴が設けられている。表面には、車両の通行時のスリップを防止するための凹凸が施されており、しばしば自治体の花、郷土芸能、市章などの意匠が描かれる。地域の名産や特色をモチーフにしたものは「デザインマンホール(ご当地マンホール)」と呼ばれている。

保守管理と関連する事故
マンホール周辺や内部の維持管理においては、硫化水素の発生による生物化学侵食(コンクリート腐食)などへの対策が重要となる。不適切な管理や破損は、道路陥没、人身事故、交通阻害、下水の流出による環境汚染、悪臭や有害ガスの噴出を引き起こすおそれがある。
内部作業における事故
マンホール内部には窒素、二酸化炭素、硫化水素などのガスが滞留することがあり、十分な確認を行わずに内部へ立ち入った作業員が酸欠やガス中毒に陥る事故が発生している。事故防止のため、作業前にはガス検知器等による内部状態の確認が必要とされている。
蓋および構造に起因する事故
大雨の際の水面上昇に伴う水圧や空気圧の上昇、あるいは被圧空気塊の急浮上により、マンホールの蓋が浮上したり吹き飛ぶ現象が確認されている。また、地中ガス配管の破損や引火による爆発事故の事例も存在する。
雨天時には、金属製の蓋の表面が滑りやすくなり、歩行者の転倒や自動車・オートバイのスリップ事故の原因となることがある。さらに、下水管に配電設備が併設されている場合、漏電によって感電事故が発生した事例も報告されている。
寒冷地の圧雪道路においては、下水管を流れる生活排水の暖気によってマンホール直上の雪が融解し、周辺との間に30センチメートルから40センチメートル程度の段差や窪みが生じ、自動車のハンドル取られや歩行者の転倒を招くことがある。
よくある質問
なぜマンホールの蓋は丸い形状が多いのですか?
マンホールトイレとは何ですか?
通信用の地下設備においてマンホールとハンドホールの違いは何ですか?
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参考文献
- 佐藤克己, 熊谷光記, 森田弘昭, 阿部忠 “下水道マンホールの改築工法の現状と課題” 日本大学生産工学部第54回学術講演会講演概要, 2024.
- 広瀬孝六郎 『上下水道』 山海堂出版部, 1942年, 204-206頁.
- 日本下水道管路管理業協会 “マンホールの改築及び修繕に関する設計の手引き(案)”, 2024.
- 国土交通省 “参考資料 III 管路施設のストックマネジメント”.