医学
医療における輸液療法とその基礎知識
医療現場で行われる輸液療法の目的、適応、各種製剤の組成、輸液量の計算方法や小児・外科分野における管理について解説する解説記事。
📌 主なポイント
- ✓輸液は水分や電解質などを点滴静注により投与する治療法である。
- ✓輸液製剤の号数分類(1〜4号液)は日本独自の体系である。
- ✓正常な腎機能の場合、1日あたりの尿量は約700mlから10000mlの範囲で調節される。
輸液(ゆえき)とは、水分や電解質などを点滴静注により投与する治療法である。血液成分の直接的な投与については輸血に分類される。
目的と適応
輸液療法は、体内の水分や電解質、栄養素のバランスを維持・回復させるために行われる。主な適応としては、下痢や嘔吐、絶食などによる脱水状態、急激な出血などによる循環血液量の不足、そして何らかの理由で経口摂取や経腸栄養(EN)による食事ができない場合が挙げられる。
輸液製剤の種類と組成
輸液製剤は含有されるナトリウム(Na)濃度などにより分類され、低張複合電解質液には1号液から4号液までの分類が存在する。これらは日本独自の分類体系として広く知られている。
- 開始液:ST1やKN1Aなどがあり、電解質補給の初期段階で使用される。
- 細胞外液補充液:ラクテックやヴィーンDなどがあり、血漿に近い電解質組成を持つ。
- 維持液:ST3やKN3Bなどがあり、身体が1日に排泄する水分や電解質の組成に合わせて作られている。
輸液量の決定と計算
輸液量の決定にあたっては、体内のナトリウム量や電解質量を考慮し、浸透圧の影響を評価しながら適切な製剤と投与量が選ばれる。正常な腎機能を持つ場合、尿として排出できる量は1日あたり最低700mlから最大10000mlの範囲とされている。
分野別の輸液管理
輸液の管理方法は、診療科や患者の病態によって異なる。
- 外科的分野:周術期においては、維持量、喪失量、欠乏量を組み合わせて1日の輸液量を算出することがある。
- 小児科的分野:小児の脱水は緊急を要することが多く、成人とは異なる体重別の投与速度や維持液の計算が用いられる。
- 救急医療分野:熱傷などの重篤な病態においては、バクスターの公式などの特定の計算式に基づいて総輸液量が算出される。
輸液速度と規格
厚生労働省の告示により、輸液ラインの規格はISOに準拠した20滴/mlおよび60滴/mlなどに整理されている。臨床現場では、維持を目的とする場合に1時間あたり約100mlの速度で投与されることが一般的である。
よくある質問
輸液と輸血の違いは何ですか?
輸液は水分や電解質、ブドウ糖などを点滴する治療法であり、血液成分そのものを投与する輸血とは区別されます。
維持液とはどのようなものですか?
身体が1日に排泄する水分や電解質の組成に合わせて作られた製剤であり、食事ができない場合の水分・電解質補給に使用されます。
小児の輸液管理は成人と同じですか?
小児は成人と比較して体重あたりに必要な水分量が異なるため、年齢や体重に応じた専用の計算式や投与速度で管理されます。
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参考文献
- 遠藤 正之「生理食塩水,乳酸加リンゲル液,5%ブドウ糖液,維持輸液製剤の使用法」『medicina』第44巻、2007年、544-546頁。
- イヤーノート 2015: 内科・外科編 メディック・メディア
- クエスチョン・バンク 医師国家試験問題解説2016 vol.3 メディック・メディア