音響機器・道具

メガホンの歴史と仕組み、拡声器の発展

メガホンの歴史と仕組み、拡声器の発展
音声を効率よく遠くへ伝えるための器具であるメガホンの音響的な仕組み、歴史的背景、そしてトランジスタ式電子メガホンの登場やスポーツ応援文化への定着について詳しく解説します。

📌 主なポイント

  • メガホンは音響インピーダンスとQ値を高めることで音のエネルギー伝播効率を向上させる装置である。
  • 1954年に日本の東亞特殊電機(現:TOA)が世界初のトランジスタ式電子メガホン「EM-202」を開発した。
  • 17世紀半ばにはサミュエル・モーランドらが銅管製の音響メガホンを製作した記録が残されている。
  • アメリカの大学のチアリーディングやスポーツ応援において、古くから音響メガホンが利用されてきた。

メガホン(英語: Megaphone)は、人間の音声を拡声し、遠くへ伝えるために用いられる器具である。構造や動作原理の違いによって、電気回路を用いない音響的な仕組みの器具と、電子回路で音声を増幅する電子メガホンに大別される。スポーツの応援、集会、演説などのほか、映画制作の現場では演出の象徴としても広く知られている。

音響的な仕組みと動作原理

音響的なメガホンは、音響インピーダンスとQ値を高めることで、音のエネルギー伝播効率を向上させる装置である。声帯から空気への音響インピーダンスを上昇させることにより、多くの音響パワーが効率よく空気中へ放射される仕組みとなっている。

円錐形状や双曲線形状の筒を用いた場合、高周波成分が大きくなる特性があるため、音質は多少歪む傾向にある。しかし、媒質中で吸収されるエネルギーの減少を抑える効果や、音の指向性を高めて遠方まで声を届ける機能を持つ。製造コストの観点から、簡易的な器具には単純な円錐台形が多く採用されている。

歴史的展開

音響的なラッパ状の筒を用いて声を遠くへ届ける手法の歴史は古く、世界各地で古くから利用されてきた。近代的な金属製音響メガホンスピーキング・トランペットと呼ばれ、17世紀半ば以降、サミュエル・モーランドらによって開発・製作の記録が残されている。

1878年には、発明家のトーマス・エジソンが聴覚障害者向けに中央の拡声用メガホンと左右の聴音用メガホンを備えた大型の装置を発明した。また、20世紀に入ると真空管アンプを利用した公衆伝達装置が登場したが、機材が大型であったため可搬性に課題があった。

1954年、日本の東亞特殊電機(現:TOA)が世界初となるトランジスタ式電子メガホン「EM-202」を開発した。これにより拡声器の小型化と軽量化が飛躍的に進み、群衆整理や広報活動における標準的な機材として普及していった。

スポーツの応援文化における変遷

音響メガホンが現在も日常的に活用されている代表的な分野の一つが、スポーツの応援である。1890年代のアメリカにおける大学のチアリーディング活動で用いられたことが初期の記録として知られている。その後、1946年にはレオナルド・A・ウィーラーによってポップコーンの容器を兼ねた紙製メガホンの特許が申請され、球場での普及が進んだ。

日本においても、学生野球やプロ野球の応援席において、紙製や合成樹脂製の簡易的なメガホンが広く使われるようになった。現在では声を伝える目的だけでなく、打ち合わせて音を鳴らす楽器のような役割を持つ応援道具としても定着している。

よくある質問

メガホンが声を遠くへ伝えられる理由は何ですか?
声帯から空気への音響インピーダンスとQ値を高め、音のエネルギー伝播効率を向上させるとともに、音の指向性を強めるためです。
世界初のトランジスタ式電子メガホンを開発した企業はどこですか?
日本の東亞特殊電機(現在のTOA)が、1954年に世界初となるトランジスタ式電子メガホン「EM-202」を開発しました。
メガホンにはどのような種類がありますか?
電源を使わず音響的な共鳴や指向性を利用するタイプと、マイクロホンや増幅回路、スピーカーを用いた電子回路で増幅するタイプの2種類に大別されます。

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参考文献

  1. Mills, Mara. "When Mobile Communication Technologies Were New." Endeavour 33.4 (2009): 141-47.
  2. Prescott, George B. Bell's Electric Speaking Telephone: Its Invention, Construction, Application, Modification, and History. New York: D. Appleton &, 1884.
  3. Hanson, Mary Ellen. Go! Fight! Win!: Cheerleading in American Culture. Bowling Green, OH: ボーリング・グリーン州立大学 Popular, 1995.
  4. Leonard A Wheeler. "Convertible container" US 2507843, 1946年4月23日.
  5. 永井良和、橋爪紳也「応援風景の変化 メガホンの登場/受け継がれたもの メガホンと選手別応援歌」『南海ホークスがあったころ 野球ファンとパ・リーグの文化史』紀伊國屋書店、2003年。