歴史学・出版
明治文化全集:近代日本史料の集大成
明治文化研究会が編纂した『明治文化全集』の歴史、構成、および近代日本史研究における重要性について解説します。
📌 主なポイント
- ✓明治文化研究会によって編纂された明治期の史料集成である。
- ✓1927年に日本評論社から初版(全24巻)が刊行された。
- ✓関東大震災による史料散逸を危惧した吉野作造らが中心となって結成された。
- ✓社会史・民衆史的な視点から、公刊されなかった建白書や希少な文献を多数収録している。
- ✓1967年から1974年にかけて刊行された第3版(全32巻)が決定版とされる。
『明治文化全集』は、明治時代の基本的文献や史料を収集・編纂した叢書である。1924年に結成された「明治文化研究会」の主導により、近代日本の形成過程を理解するための重要な資料が体系的にまとめられた。本全集は、明治史研究の基礎を築いた文献として知られている。
成立の背景と目的
1923年の関東大震災により、多くの貴重な史料や文献が散逸したことを危惧した知識人たちが、明治期の史料保存と研究を目的に「明治文化研究会」を結成した。会長の吉野作造をはじめ、尾佐竹猛、宮武外骨、石井研堂ら8名が中心となり、近代日本の進展に影響を与えた文献を選定した。
本全集は、単なる文献の復刻にとどまらず、研究者による詳細な解題や年表が付されている点が特徴である。収録された約450点の文献には、公刊されなかった意見書や建白書、当時すでに稀覯書となっていた刊本などが含まれており、社会史や民衆史の視点から明治文化を掘り起こそうとする大正デモクラシー期の歴史観が反映されている。
刊行の変遷
初版は日本評論社より1927年から1932年にかけて全24巻で刊行された。その後、時代の要請に応じて再編や増補が行われている。
- 初版(1927年-1932年):全24巻。
- 再版(1955年-1957年):全16巻。皇室関連などを割愛し、新たに3巻を増補。
- 第3版(1967年-1974年):全32巻。初版の内容を復刻し、さらに5巻を増補した決定版。
- 復刻版(1992年):全28巻・別巻1の構成で再編。2015年には電子書籍化も行われた。
歴史研究への影響
1910年代までの日本史研究は、主に江戸時代までを対象とする傾向が強く、明治維新前後の同時代史はアカデミズムの対象から外れることが多かった。しかし、『明治文化全集』の刊行は歴史資料の整備を加速させ、昭和初期の「明治時代ブーム」や明治史研究の本格化を促す重要な呼び水となった。
よくある質問
明治文化全集は誰が編集しましたか?
吉野作造を会長とし、尾佐竹猛、宮武外骨、石井研堂ら8名で構成された「明治文化研究会」が編集しました。
全集にはどのような資料が含まれていますか?
明治維新から大日本帝国憲法発布・議会開設に至るまでの、政治、社会、文化、風俗に関する約450点の文献や、公刊されなかった意見書、建白書などが含まれています。
第3版は何巻構成ですか?
1967年から1974年にかけて刊行された第3版は、全32巻で構成されています。
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参考文献
- 鳥海靖「明治文化全集」『国史大辞典』第13巻、吉川弘文館、1992年。
- 阿部恒久「明治文化全集」『日本史大事典』第6巻、平凡社、1992年。
- 佐藤能丸「明治文化全集」『日本歴史大事典』第3巻、小学館、2001年。