気象学・組織
英国気象庁(Met Office)の概要と歴史

英国気象庁(Met Office)は、イギリスの国立気象機関です。その歴史、組織構造、気象予測モデル、および航空気象や大気質予測などの専門的な業務について解説します。
📌 主なポイント
- ✓1854年にロバート・フィッツロイによって設立された。
- ✓現在はビジネス・エネルギー・産業戦略省の執行エージェンシーである。
- ✓本部をデヴォン州エクセターに置く。
- ✓航空路火山灰情報センター(London VAAC)を運営している。
英国気象庁(Met Office、略称: UKMO)は、イギリスの国立気象機関です。天気予報から気候変動の予測まで、幅広い時間スケールで気象に関する業務を行っています。現在はビジネス・エネルギー・産業戦略省の執行エージェンシーとして運営されています。

歴史
英国気象庁は、1854年にロバート・フィッツロイ海軍中将の下、商務院内の小さな部局として設立されました。設立の背景には、1859年に発生した客船「ロイヤル・チャーター」の難破事故があり、これを機に船舶向けの暴風警報サービスが開始されました。フィッツロイは電信技術を活用して観測網を構築し、1861年には新聞を通じた天気予報の提供を開始しました。
第一次世界大戦後の1919年には空軍省の一部となり、航空気象の重要性が高まりました。その後、組織の再編を経て、1990年には国防省の執行エージェンシーとなりました。2011年以降はビジネス・エネルギー・産業戦略省の管轄下に入っています。
専門業務と研究
英国気象庁は、高度な数値予報モデル「Unified Model」を運用し、世界有数のスーパーコンピュータを活用して気象予測を行っています。また、以下の専門的な役割も担っています。
- 航空路火山灰情報センター(VAAC):ロンドンVAACを運営し、北東大西洋およびアイスランド周辺の火山灰拡散予測を担当しています。
- 大気質予測:NAME(Numerical Atmospheric-dispersion Modelling Environment)モデルを用い、大気汚染物質の輸送や拡散を予測します。
- 軍事支援:Mobile Met Unit(MMU)を通じて、紛争地域や軍事基地での気象助言を提供しています。
所在地
2004年、本部をバークシャーのブラックネルからデヴォン州エクセターへ移転しました。また、アバディーンの予報センターや、レディング大学内の合同センターなど、英国内外に拠点を展開しています。
よくある質問
英国気象庁の正式名称は何ですか?
正式名称は「Met Office」です。かつてはMeteorological Officeの略称でしたが、2000年11月に公的に現在の名称が採用されました。
英国気象庁は現在も国防省の一部ですか?
いいえ、現在はビジネス・エネルギー・産業戦略省の管轄下ですが、軍事基地への気象支援や合同運用センターへの関与など、軍との強いつながりは維持しています。
BBCの天気予報はすべて英国気象庁が作成していますか?
2015年以降、BBCは気象予報業務の契約先を民間企業のMeteoGroupに変更しましたが、荒天警報など一部の重要な警報発表は引き続き英国気象庁が担っています。
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参考文献
- Met Office Official website (MetOffice.gov.uk)
- Ronalds, B.F. (2016). Sir Francis Ronalds: Father of the Electric Telegraph. Imperial College Press.
- Hansard (2016). "Machinery of Government Changes: Written statement - HCWS94".