化学

化学と材料科学における金属の特性と定義

化学と材料科学における金属の特性と定義
化学および材料科学の観点から金属の定義、物理的・化学的性質、結晶構造や分類について詳しく解説する専門事典記事。

📌 主なポイント

  • 金属は、水銀を除く常温・常圧下で固体であり、良導体性と金属光沢を持つ。
  • 金属結合は、カチオンと自由電子の間でクーロン力により形成される。
  • 金属の結晶構造には、面心立方格子構造、体心立方格子構造、六方最密充填構造がある。

化学において、金属(きんぞく、英: metal)とは、水銀を例外として常温・常圧状態で透明ではなく、固体として存在し、液化状態でも良導体性や光沢性を維持する化学物質および元素の総称である。周期表においては、ホウ素、ケイ素、ヒ素、テルル、アスタチンなどの半金属を結ぶ境界線よりも左側に位置する元素が金属元素に該当する。

定義

性質からの定義

金属は、主に以下の特徴を備えている物質として定義される。

  • 電磁波を反射する特性(金属光沢)
  • 優れた熱伝導性
  • 優れた電気伝導性
  • 展性および延性を持つこと

なお、金属元素以外でも極限環境下では金属状態をとる可能性が指摘されており、例えば常温・高圧下における水素は金属水素と呼称される。

化学結合からの定義

原子の化学結合の観点から、金属は特有の金属結合によって説明される。カチオン化した金属元素が規則正しく配列し、その間を自由電子が移動しながらクーロン力で結びついている状態を指す。原子の配列構造は、主に面心立方格子構造 (fcc)、体心立方格子構造 (bcc)、六方最密充填構造 (hcp) のいずれかをとる。

物理的および化学的性質

融点と変態

純金属は一定の融点を持つため、温度の定点としても利用される。また、固体状態において結晶構造が変化する現象を固相変態(同素変態)と呼び、鉄などが示す特異な変態挙動は工業的な用途を広げる重要な要因となっている。

導体性と超伝導

自由電子の存在により、金属は高い熱伝導率と電気伝導率を示す。温度が低下するにつれて電気伝導性は向上し、絶対零度付近で電気抵抗がゼロになる超伝導現象を示す金属や化合物も存在する。

腐食と破壊

貴金属を除き、多くの金属は酸化や硫化された状態がエネルギー的に安定であるため、自然放置されると錆や脆化などの腐食が発生する。また、過大な外力や繰り返しの応力が加わることで、延性破壊や脆性破壊、あるいは金属疲労を引き起こす。

分類

金属の分類には、化学的性質や結晶構造、工業材料としての用途、比重などに基づく多様な手法が存在する。代表的な工業材料分類には、鉄鋼材料(炭素鋼、合金鋼、鋳鉄など)や、非鉄金属(銅、アルミニウム、ニッケル、貴金属など)が含まれる。

よくある質問

金属の基本的な定義は何ですか?
電磁波の反射(金属光沢)、優れた熱伝導性、電気伝導性、展性、延性を備え、特有の金属結合を持つ物質として定義されます。
なぜ金属は電気や熱をよく通すのですか?
金属内部に存在する自由電子が自由に移動し、電荷や熱エネルギーを効率的に伝達するためです。
金属の結晶構造にはどのようなものがありますか?
主に面心立方格子構造 (fcc)、体心立方格子構造 (bcc)、六方最密充填構造 (hcp) の3つに分類されます。

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参考文献

  • 『広辞苑』岩波書店
  • 『岩波理化学辞典』岩波書店
  • 『リー 無機化学』東京化学同人