気象学

気象衛星の仕組みと歴史

気象衛星の仕組みと歴史
気象衛星の概要、歴史、観測方法、および静止軌道や極軌道といった軌道ごとの特性について解説します。

📌 主なポイント

  • 世界初の気象衛星は1960年に打ち上げられたタイロス1号である。
  • 気象衛星は主に静止軌道と極軌道(太陽同期軌道)の2種類の軌道を利用して運用される。
  • 気象衛星のデータは世界気象機関(WMO)のプログラムを通じて国際的に共有されている。

気象衛星は、地球の気象観測を目的とした人工衛星です。衛星軌道上から広範囲の気象状況を短時間で把握できるため、現代の気象予報において不可欠な役割を果たしています。

歴史的背景

気象観測を目的とした宇宙からの撮影は、第二次世界大戦後のロケット技術の発展とともに始まりました。1946年、カメラを搭載したロケットが上空から雲の撮影に成功し、1954年には熱帯低気圧の全貌が捉えられました。その後、1960年4月1日に世界初の気象衛星「タイロス1号(TIROS-1)」が打ち上げられ、地上への画像伝送が開始されました。

TIROS衛星(1961年)
TIROS衛星(1961年)

1960年代には極軌道衛星による全球観測が始まり、1970年代には静止気象衛星の運用が開始されました。これにより、雲の動きを連続的に追跡することが可能となり、数値予報の精度向上に大きく貢献しました。また、これらの観測データは世界気象機関(WMO)の「世界気象監視(World Weather Watch)」プログラムを通じて国際的に共有されています。

観測方法と搭載機器

気象衛星には、可視光線カメラや赤外線カメラ、水蒸気観測用センサー、マイクロ波散乱計などが搭載されています。これらは、雲の分布、海面温度、水蒸気量、海上風などのデータを収集するために使用されます。

低軌道気象衛星を追尾するためにコンピュータ制御が可能なモーターを搭載したパラボラアンテナ
低軌道気象衛星を追尾するためにコンピュータ制御が可能なモーターを搭載したパラボラアンテナ
低軌道(LEO)気象衛星から137MHzの電波を受信するためのターンスタイルアンテナ
低軌道(LEO)気象衛星から137MHzの電波を受信するためのターンスタイルアンテナ

軌道による分類

静止軌道衛星

赤道上空約35,880kmの静止軌道を周回する衛星です。地球の自転と同じ速度で移動するため、常に特定の半球を監視し続けることが可能です。台風の監視や気象の連続的な変化を捉えるのに適しています。

アメリカ合衆国の気象衛星 GOES-8
アメリカ合衆国の気象衛星 GOES-8
GOES-9の衛星画像。ハリケーン・フェリックス(1995年)
GOES-9の衛星画像。ハリケーン・フェリックス(1995年)

極軌道(太陽同期軌道)衛星

高度約850km付近を南北に周回する衛星です。太陽同期軌道をとることで、常に一定の太陽光条件下で地表を観測できます。静止衛星では観測が困難な両極地方の観測に不可欠であり、全球的な気象データの収集に重要な役割を果たしています。

よくある質問

気象衛星はどのようにして気象を観測するのですか?
可視光線カメラや赤外線カメラ、水蒸気センサーなどを搭載し、雲の形状や温度、水蒸気量、海面温度などを測定することで観測を行います。
静止気象衛星と極軌道気象衛星の違いは何ですか?
静止気象衛星は赤道上空から常に同じ地域を連続的に監視するのに対し、極軌道衛星は地球全体を南北に周回して全球的なデータを収集します。
気象衛星のデータは誰が利用していますか?
各国の気象機関が利用するほか、世界気象機関(WMO)の枠組みを通じて国際的に共有され、数値予報や気象災害の監視に役立てられています。

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参考文献

  • 堤之智『気象学と気象予報の発達史 気象衛星の発達』丸善出版、2018年。
  • 小倉義光『大気の科学』日本放送出版協会、1971年。
  • 気象衛星センター「運用計画」