マイクロ波調理器の技術と歴史

📌 主なポイント
- ✓電子レンジはマイクロ波を照射し、食品中の水分子を振動・回転させることで発熱させる調理機器である。
- ✓マイクロ波の発生にはマグネトロンと呼ばれる真空管が用いられている。
- ✓1945年にアメリカのレイセオン社で働いていたパーシー・スペンサーによって原理が発明され、1947年に最初の製品が発売された。
- ✓日本国内では1959年に東京芝浦電気が国産初の電子レンジを開発し、1960年代半ば以降に一般家庭向け製品が発売された。
電子レンジとは、電磁波(マイクロ波)を利用して水分を含んだ食品などの温度を上げる調理機器である。英語ではmicrowave ovenと呼ばれ、しばしば「microwave」と略される。
原理と仕組み
電子レンジは、マグネトロンと呼ばれる真空管の一種からマイクロ波を発生させ、これを庫内の食品に照射する仕組みで加熱を行う。照射されたマイクロ波は、極性を持つ水分子に直接エネルギーを与え、分子を振動・回転させることで摩擦熱を発生させ、内部から温度を上昇させる。
庫内の構造には、マイクロ波の照射や吸収のムラを防ぐために食品を載せた皿を回転させるターンテーブル方式と、庫内がフラットな構造になっているフラットタイプが存在する。フラットタイプでは照射用のアンテナ側が回転する仕組みなどが採用されている。
また、商用電源の周波数(50Hz/60Hz)の違いが加熱出力に影響を与える従来型の製品がある一方で、交流電源を一旦直流に変換してから高い周波数で制御するインバータを搭載し、電源周波数の違いによる影響を受けないように設計された製品も普及している。
歴史的展開
マイクロ波による加熱の原理は、1945年にアメリカのレイセオン社で働いていたパーシー・スペンサーによって見出された。レイセオン社は同年に特許を取得し、1947年には最初の商用製品を発売した。当時の製品は非常に大型かつ高価であり、一般家庭への普及には時間を要した。
日本国内においては、1959年に東京芝浦電気が国産初の電子レンジを開発し、1960年代を通じて早川電機工業や松下電器産業などが相次いで量産化や家庭向け製品の発売を行った。1964年に開業した東海道新幹線のビュッフェ車に備え付けられるなど、初期は業務用としての活用も進められた。
発売当初は従来の加熱調理法と大きく異なるため、食品の解凍や調理済み食品の再加熱といった用途が中心であった。しかし、高度経済成長期以降のライフスタイルの変化や核家族化の進展に伴い、手軽に調理や再加熱を行える利便性が評価され、家庭への普及が進んでいった。現在では温め機能だけでなく、オーブン機能やスチーム機能を組み合わせた複合型多機能タイプも広く普及している。
よくある質問
電子レンジはどのようにして食品を温めているのですか?
日本国内で電子レンジの周波数の違いによる影響はどう解消されていますか?
ターンテーブル方式とフラット方式の違いは何ですか?
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参考文献
- ビジネス特急こだまを走らせた男たち p.160 福原俊一 JTB 2003年 ISBN 4533050115
- ビー・ウィルソン『キッチンの歴史:料理道具が変えた人類の食文化』真田真由子訳 河出書房新社 2014年 ISBN 9784309022604 pp.140-145.
- 向田幸一郎「サービス機器 (7)電子レンジ」『鉄道辞典 補遺版』日本国有鉄道、1966年、p.141
- 花岡利昌「家庭生活と機械」『原色現代科学大事典10 機械』株式会社学習研究社、1969年、p.246