中英語の歴史と特徴

📌 主なポイント
- ✓中英語は1066年のノルマン・コンクエストから15世紀後半までの英語を指す。
- ✓フランス語からの大量の語彙流入により、英語の語彙体系が大きく変化した。
- ✓印刷術の普及により、ロンドン方言を基盤とした標準的な文語が形成された。
- ✓古英語に存在した複雑な格変化が簡略化され、語順が重要視されるようになった。
中英語(Middle English)は、1066年のノルマン・コンクエストから15世紀後半の印刷術普及に至るまでの期間に使用された英語の段階を指します。この時期の英語は、古英語から近代英語へと移行する過程で、語彙、文法、音韻の面で劇的な変化を遂げました。
歴史的背景と言語的変容
1066年のノルマン・コンクエスト以降、イングランドの支配層となったノルマン人によって、フランス語(アングロ・ノルマン語)が公用語として持ち込まれました。これにより、行政、法律、宗教、芸術などの分野で大量のフランス語語彙が英語に流入しました。一方で、一般庶民の間では英語が維持され、古英語の屈折体系が簡略化されるとともに、方言による地域差が顕著になりました。
15世紀後半、ウィリアム・キャクストンによる印刷術の導入が英語の標準化を促進しました。それまで主流であったウェストサクソン方言に代わり、ロンドン周辺の東アングリア方言を基盤とした文語が形成され、これが現代英語の基礎となりました。
言語的特徴
音韻と表記
中英語の表記体系は、現代英語とは大きく異なります。最大の特徴は「黙字」がほとんど存在せず、綴られた文字の多くが発音されていた点です。例えば、knightは現代の「ナイト」ではなく、古英語の面影を残す「クニヒト」に近い発音でした。この時期の音韻組織は、その後の「大母音推移」を経て近代英語へと変貌を遂げることになります。
文法体系の変化
古英語の複雑な格変化は、中英語期を通じて大幅に簡略化されました。名詞の格語尾は消失し、語順による意味の決定が重要視されるようになりました。複数形の語尾については、強変化の-s(例:engles)が一般化した一方で、弱変化の-n(例:nomen)はoxenやchildrenといった一部の単語にのみ残存しました。
主要な文学作品
中英語期には、イングランド独自の文学が花開きました。特に以下の作品は、当時の言語状況を理解する上で重要な資料となっています。
- ジェフリー・チョーサー『カンタベリー物語』
- ガウェイン詩人『ガウェイン卿と緑の騎士』
- ウィリアム・ラングランド『農夫ピアズの夢』

よくある質問
中英語はいつ頃の英語を指しますか?
なぜ中英語にはフランス語の影響が強いのですか?
現代英語と中英語の音韻の違いは何ですか?
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参考文献
- Crystal, David. The Cambridge Encyclopedia of the English Language.
- Baugh, Albert C., and Thomas Cable. A History of the English Language.