宇宙開発

環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II)の概要と運用

環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II)の概要と運用
日本の地球観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II)の目的、搭載機器、運用実績、および2003年の運用終了に至る経緯を解説します。

📌 主なポイント

  • 打ち上げ日:2002年12月14日
  • 運用終了日:2003年10月31日
  • 打ち上げロケット:H-IIAロケット4号機
  • 主な目的:地球温暖化やオゾン層破壊などの環境観測
  • 運用終了原因:太陽電池パドルの電力低下による通信途絶

みどりII(ADEOS-II)は、宇宙開発事業団(NASDA、現・宇宙航空研究開発機構:JAXA)が開発した地球観測技術衛星です。1996年に打ち上げられた地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」(ADEOS)の後継機として、地球温暖化やオゾン層破壊、異常気象といった地球規模の環境変化を把握するためのデータを取得することを目的としていました。

開発と目的

本プロジェクトは、環境省、NASAジェット推進研究所(JPL)、フランス国立宇宙研究センター(CNES)などの国際機関と連携した国際共同プロジェクトとして推進されました。「みどり」の名称を踏襲しつつ、次世代の観測技術を担うという意味を込めて「II(ツー)」と命名されました。衛星開発費は約480億円、総予算額は約712億円にのぼります。

搭載観測機器

みどりIIには、地球環境を多角的に観測するための高性能な機器が搭載されていました。

  • AMSR:高性能マイクロ波放射計
  • GLI:可視赤外イメージング放射計
  • ILAS-II:改良型大気周縁赤外分光計II型
  • SeaWinds:海上風観測装置
  • POLDER:地表反射光観測装置

運用実績

2002年12月14日、H-IIAロケット4号機によって種子島宇宙センターから打ち上げられ、軌道投入に成功しました。初期機能確認を経て、2003年4月には定常観測および校正・検証段階へ移行しました。運用期間中には、データ中継技術衛星「こだま」や欧州の「アルテミス」との衛星間通信実験に成功し、日本の宇宙通信技術の向上に大きく貢献しました。

運用終了と原因

2003年10月25日、太陽電池パドルの発生電力低下により通信が途絶しました。その後の調査により、太陽電池パドルのハーネス被覆が熱サイクルによる損傷を受け、回路の断線またはショートが発生したことが電力低下の主因であると推測されています。同年10月31日、JAXAは地球観測運用の断念を発表しました。

現在の状況

運用終了後、みどりIIは軌道上のデブリ(宇宙ゴミ)として存在し続けています。2026年には、アストロスケール社が実施する新たなデブリ観測ミッションの対象衛星として選定されるなど、その動向は現在も注目されています。

よくある質問

みどりIIの運用が終了した理由は?
太陽電池パドルのハーネス被覆が熱サイクルにより損傷し、回路が断線またはショートしたことで発生電力が低下し、通信が途絶したためです。
みどりIIは何を観測する衛星でしたか?
地球温暖化、オゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、異常気象など、地球規模の環境変化を把握するためのデータを取得することを目的としていました。
みどりIIは現在どうなっていますか?
運用終了後は軌道上のデブリとして存在しており、2026年にはデブリ観測ミッションの対象として選定されています。

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参考文献

  • 宇宙航空研究開発機構「環境観測技術衛星(ADEOS-II)「みどりⅡ」について」(2003年11月7日)
  • 文部科学省「環境観測技術衛星(ADEOS-Ⅱ)「みどりⅡ」の運用異常に係る原因究明及び今後の対策について」(2004年7月28日)
  • Sorae編集部「アストロスケールが新たなデブリ観測ミッション発表 対象は退役衛星の「だいち」と「みどりII」」(2026年4月9日)