ミレニアム生態系評価の概要と地球規模の環境分析
📌 主なポイント
- ✓ミレニアム生態系評価(MA)は2001年から2005年にかけて実施された。
- ✓世界95カ国から約1,360人の専門家が参加した。
- ✓生態系サービスの大部分が劣化したか非持続的に使用されてきたと結論付けられた。
ミレニアム生態系評価(英語: Millennium Ecosystem Assessment, 略称: MA)とは、国際連合の提唱によって2001年から2005年にかけて実施された、地球規模の生態系および環境に関する国際的な評価プロジェクトである。
生態系および生態系サービスの変化が人間生活に与える影響を科学的に評価し、その現状と動向、未来のシナリオ、および対策の選択肢を提示することを目的として行われた。
背景と組織
2000年に当時のコフィー・アナン国連事務総長が国連総会で行った演説の趣旨に沿う形で、2001年6月に正式に開始された。世界95カ国から約1,360人の専門家が参加し、日本からは国立環境研究所などが参画した。
本プロジェクトの総予算は2,400万アメリカドル以上に上り、地球環境ファシリティ(GEF)、世界銀行、国連環境計画(UNEP)などから資金および物資の提供を受けて遂行された。
分析対象と作業部会
MAでは、人間の福利と生態系サービスの相互作用を分析するため、以下の要因を主要な検討対象とした。
- 人間の福利:食糧などの基本物資、健康、安全、選択と行動の自由、良好な社会関係
- 生態系サービス:供給サービス、調整サービス、文化的サービス、基盤サービス
- 変化の間接的要因:人口、経済、社会政策、科学技術、文化および宗教
- 変化の直接的要因:土地利用方法の変化、生物種の移入および絶滅、科学技術の使用、肥料や灌漑などの外部からの導入、自然現象
作業は、世界規模の評価を行う3つの部会と、地域規模(サブグローバル)の評価を行う1つの部会、合計4つの部会体制で進められた。
主な結論
MAの結論は大きく4つの柱に集約される。そのうち3つは生態系および生態系サービスの劣化に関するものであり、残りの1つは劣化を緩和あるいは回復させるための選択肢について述べている。
生物多様性の喪失と環境破壊
人類は過去50年間で、主として供給サービスを得るために大規模かつ不可逆的な環境破壊を行ってきた。その結果、生物多様性も甚大な被害を受けている。具体的な事例として、20世紀末の数十年間にサンゴ礁の約40%が壊滅あるいは劣化し、マングローブ林の約35%が失われたと推定されている。
生態系サービスの劣化とその影響
評価対象となった24種類の生態系サービスの大部分が劣化したか、非持続的に使用されてきた。農業生産や炭素固定の一部は向上したものの、それらは他の生態系サービスを犠牲にしている場合が多く、富栄養化や水産資源の乱獲といった非線形変化(臨界点を超える急激な変化)を引き起こす危険性が高まっている。
持続可能性への課題
21世紀前半においても、生態系サービスへの需要増大は継続すると推定されており、これがミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けた障害となることが指摘された。
対策の選択肢
生態系の劣化を緩和あるいは回復させるための選択肢として、以下の分野における改革や取り組みが提案された。
- 制度と管理:部門間における共通の目標構築や、多国間環境協定での協調。
- 経済政策と奨励策:環境負荷の高い補助金の撤廃や、二酸化炭素排出量取引などの市場整備。
- 社会的・行動的対策:環境教育の充実と、社会的弱者の立場向上。
- 技術的および知識的対応:環境負荷の少ない生産技術の開発や、伝統的・地域的な知識の活用。
よくある質問
ミレニアム生態系評価(MA)とは何ですか?
MAはどのような目的で行われましたか?
MAの主な結論は何ですか?
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参考文献
- Millennium Ecosystem Assessment編 『国連ミレニアム エコシステム評価 生態系サービスと人類の将来』 横浜国立大学21世紀COE翻訳委員会責任翻訳、オーム社、2007年。
- 国連大学高等研究所 『ミレニアム生態系評価概要』