飲料
ミネラルウォーターの定義と歴史的背景

ミネラルウォーターの定義、日本と欧州における分類、歴史、および飲用時の注意点について解説します。
📌 主なポイント
- ✓日本におけるミネラルウォーターの分類は、農林水産省のガイドラインにより定められている。
- ✓硬度はカルシウムとマグネシウムの含有量で決まり、60mg/L以下が軟水、120mg/L以上が硬水と定義される。
- ✓日本の粉ミルクは軟水での調乳を前提としており、硬度の高い水の使用は乳児の負担になる可能性がある。
ミネラルウォーターとは、一般的に地下水を原水とし、容器に詰められた飲料水を指します。日本国内では農林水産省の品質表示ガイドラインに基づき、その処理方法や成分によって細かく分類されています。
日本における分類
日本では、原水の処理方法や成分の調整の有無によって、主に以下の4つに区分されます。
- ナチュラルウォーター:特定の水源から採水された地下水で、沈殿、濾過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行っていないもの。
- ナチュラルミネラルウォーター:ナチュラルウォーターのうち、地層中の無機塩類が溶解した鉱化された地下水を原水としたもの。
- ミネラルウォーター:ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、ミネラル調整や曝気、複数の水源の混合などが行われたもの。
- ボトルドウォーター:上記以外のもので、蒸留水や水道水などを含む。
硬度による違い
水に含まれるカルシウムとマグネシウムの含有量を示す「硬度」により、軟水と硬水に分けられます。厚生労働省の指標では、硬度60mg/L以下が軟水、60~120mg/Lが中硬水、120~180mg/Lが硬水、180mg/L以上が超硬水と定義されています。日本で採水される水の多くは軟水ですが、欧州では硬水が多く産出されます。
歴史的経緯
ヨーロッパでは2000年以上前から湧き水を飲む習慣があり、17世紀にはイギリスのマルヴァーンで瓶詰め販売が始まったとされています。日本では明治時代、兵庫県の平野鉱泉を用いた炭酸水の製造が先駆けとなり、その後、1929年に山梨県で「日本ヱビアン」が発売されました。1980年代以降、家庭用としての普及が進み、現在ではコンビニエンスストア等で広く流通しています。
飲用上の注意点
ミネラルウォーターはあくまで飲料水であり、特定のミネラル分を補給する目的で大量に摂取することは推奨されません。また、乳児の調乳に関しては、日本の粉ミルクは軟水での使用を前提に設計されているため、硬度の高い外国産ミネラルウォーターの使用は避けるべきとされています。災害時などで適切な水が入手できない場合、日本小児科学会などは、放射性物質の混入リスクがない限り、水道水の使用を優先する見解を示しています。
よくある質問
軟水と硬水の違いは何ですか?
水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量(硬度)による違いです。一般的に硬度が低いものを軟水、高いものを硬水と呼びます。
ミネラルウォーターでミネラルを補給できますか?
ミネラルウォーターに含まれるミネラル分は微量であり、食事の代わりとなる栄養補給には適していません。
乳児のミルク作りにミネラルウォーターを使っても良いですか?
日本の粉ミルクは軟水での使用を想定しているため、硬度の高い水は避け、可能な限り軟水を使用することが推奨されます。
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参考文献
- 厚生労働省 食品安全委員会「清涼飲料水評価書 カルシウム・マグネシウム等(硬度)」(2017)
- 杉山美次『ポケット図解 最新水の雑学がよーくわかる本 第2版』秀和システム、2012年
- 株式会社日刊経済通信社 調査部『酒類食品産業の生産・販売シェア-需給の動向と価格変動- 2023年度版』2023年
- 日本小児科学会ほか共同見解「食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値を超過する濃度の放射性ヨウ素が測定された水道水摂取について」(2011)