気象学

霙(みぞれ)の気象学的特徴と観測・予報

霙(みぞれ)の気象学的特徴と観測・予報
雨と雪が混ざって降る気象現象である「霙(みぞれ)」の降水メカニズム、気象学的条件、観測方法、天気予報での扱いについて解説します。

📌 主なポイント

  • 霙は雨と雪が混ざって降る気象現象である。
  • 観測上、霙は雪として扱われ、初雪や年間の雪日数にカウントされる。
  • 沖縄県においては、過去に久米島や沖縄本島で霙が観測された事例がある。

霙(みぞれ)とは、上空の冷たい雲から降ってきた雪が途中で解け、雨と雪が混ざって同時に地面へ降る気象現象である。

雪片が落下する過程で気温が0℃(融点)以上の高度に達すると解け始めるが、すぐに完全に雨滴になるわけではない。湿度が100%未満の環境では、雪片の昇華によって周囲から熱が奪われるため、気温が0℃以上であっても雪片が解けずに残る「非融解層」が生じ、そのすぐ下方に解け始めた雪片による「融解層」が形成される。

雪解けの境界式
雪の解け始めや雨への変化を示す経験式の要素

融解層の厚さは、湿度や雪片の大きさ、密度によって異なる。湿度が低いほど昇華による冷却効果で雪片が小さくなりすぐに解けるため融解層は薄くなり、逆に湿度が高いほど解けるまでに時間がかかるため融解層は厚くなる。気象研究所などの研究によれば、特定の気温と湿度の関係から雨と雪の境界領域を算出する経験式が提唱されており、これに基づいて霙の発生しやすい条件が分析されている。

松本市のデータに基づく雨雪判別図
松本市のデータに基づく雨雪判別図。縦軸が湿度(%)、横軸が気温(℃)でsnow(雪)/sleet(霙)/rain(雨)の3状態が区分されている。
雨雪境界の計算式
湿度と気温の関係を示す計算式のグラフ要素

気象レーダーの観測においては、霙にあたる融解層が雪や雨よりも電波を強く反射する「ブライトバンド」を発生させることがあり、実際の降水強度よりも強く観測されてしまう特徴がある。

観測と天気予報

気象観測上、霙を観測した場合は「雪」が降ったものとして扱われ、年間の雪日数や初雪の記録にも算入される。沖縄県では近代観測開始以来積雪の観測がない一方で、久米島や沖縄本島で霙が観測された事例が記録されている。

みぞれの天気記号(日本式)
みぞれの天気記号(日本式)。上半分が雪、下半分が雨の記号を組み合わせたものとなっている。

気象庁の天気予報における表現では、降水確率や条件に応じて「雨か雪」あるいは「雪か雨」といった表現が用いられ、的確な予報が難しい現象の一つとされている。

よくある質問

霙はどうして発生するのですか?
上空の冷たい雲から降ってきた雪片が、地上の暖かい空気を通過する際に完全に解けきらず、雨と雪が混ざった状態で地表に届くことで発生します。
天気予報で霙はどのように扱われますか?
気象庁の予報表現では、雨と雪の可能性が混在する場合に「雨か雪」または「雪か雨」として表現され、観測上は雪として集計されます。
沖縄でも霙が降ったことがありますか?
はい。沖縄県では積雪の観測記録はありませんが、過去に久米島や沖縄本島(名護市など)で霙が観測された記録があります。

関連記事

気象観測

参考文献

  • 『気象観測の手引き』気象庁、2007年。
  • 気象研究所物理気象研究部「大気中における雪片の融解現象に関する研究」『気象研究所技術報告』第8号、1984年。
  • 松尾敬世「雪と雨をわけるもの」『天気』第48巻第1号、日本気象学会、2001年。