藻場:沿岸生態系の基盤と環境機能

📌 主なポイント
- ✓藻場は沿岸域の海草・海藻群落であり、生物の隠れ場所や産卵場所として機能する。
- ✓陸上の森林と比較して、バイオマスあたりの純生産量が非常に高い。
- ✓埋め立て、水質汚染、海水温上昇、ウニによる食害などが減少の主な要因である。
- ✓二酸化炭素を吸収・固定する「ブルーカーボン」として環境保全の観点から重要視されている。
藻場(もば)とは、沿岸域の大陸棚に形成される海草や海藻の群落を指します。これらの群落は、海洋生物の生息環境として極めて重要な役割を果たしており、しばしば「海の森」とも称されます。
生態学的機能
藻場は、魚類や甲殻類などの多様な生物に対し、隠れ場所や産卵場所を提供することで大陸棚の生態系を支えています。海藻や海草は、光合成を通じて窒素やリンなどの栄養塩を吸収し、水質浄化や酸素供給に寄与します。また、光合成によって生成された有機物は、流れ藻や寄り藻として外洋や深海へ運ばれ、広範な海洋生態系の栄養源となります。
さらに、海草は地下茎や根によって海底を安定させ、底質の環境を維持する役割も担っています。藻場に付着する微細藻類や微生物は、小型甲殻類や巻貝の餌となり、これらを捕食する魚類が集まることで高い生物多様性が維持されています。
陸上植物群落との比較
陸上の森林と比較した場合、藻場のバイオマス(現存量)は必ずしも大きくありませんが、純生産量は非常に高いことが特徴です。これは、海藻が藻体全体で光合成を行うことや、水流による撹乱が効率的な受光を助けるためと考えられています。
減少の要因と対策
近年、藻場は世界的に減少傾向にあります。主な要因として、埋め立てや浚渫による生育場所の喪失、富栄養化や赤土流入による透明度の低下、海水温の上昇、およびウニ類による食害などが挙げられます。日本国内においても、1978年から1998年の20年間で約3割の藻場が失われたと報告されています。
これに対し、各地で再生に向けた取り組みが行われています。具体的には、食害を引き起こすウニの除去、鉄分を供給する鉄炭団子や製鉄スラグの投入、さらにはロボット技術を活用した海草の植え付けなどが実施されています。
ブルーカーボンとしての注目
2000年代以降、藻場は二酸化炭素を効率的に固定する存在として、ブルーカーボンの観点から国際的に注目されています。低緯度地域を中心に、気候変動対策の一環として藻場の保全と再生が重要な戦略となっています。
よくある質問
藻場が減少する主な原因は何ですか?
ブルーカーボンとは何ですか?
藻場の再生にはどのような技術が使われていますか?
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参考文献
- 横浜康継『海の森の物語』新潮社、2001年。
- 水産庁『水産白書(平成19年度)』。
- 宮崎日日新聞「水産資源確保へ藻場再生 宮崎県内、食害起こすウニ除去」(2014年7月21日)。
- 秋田魁新報「豊かな藻場再生へ、鉄炭団子を投入 にかほ市の金浦漁港」(2014年7月22日)。
- CNN.co.jp「失われた海草藻場の復元にロボットが一役 米」(2025年1月3日閲覧)。