言語学
イタリアの言語島:モケーニ語の概要と特徴

イタリア・トレント自治県のモケーニ渓谷で話される南バイエルン語系の一言語、モケーニ語の地理的分布、法的保護、言語的特徴について解説します。
📌 主なポイント
- ✓モケーニ語は高地ドイツ語の上部ドイツ語に属する南バイエルン語の方言である。
- ✓イタリアのトレント自治県にあるモケーニ渓谷の限られた町村で話されている。
- ✓国や自治体の法律によって公認された少数言語であり、教育や標識などで保護が進められている。
モケーニ語(モケーニ語: Mòcheno、ドイツ語: Mochenisch、イタリア語: Mocheno)は、高地ドイツ語の上部ドイツ語のうちバイエルン語群に属する南バイエルン語の方言、または一言語である。「モケーノ語」とも呼ばれる。

地理的分布
モケーニ語は、イタリア北部トレンティーノ=アルト・アディジェ州のトレント自治県にあるモケーニ渓谷(Fersental)の主に3つの町(フィエロッツォ、パルー・デル・フェルシーナ、フラッシロンゴ)で話されている。周囲をイタリア語圏や他の言語圏に囲まれた典型的な「言語島」を形成している。

2001年の国勢調査によれば、トレント自治県におけるモケーニ語母語話者の総数は2,276人であり、その後の2011年の国勢調査では1,660人に減少している。
法的な保護と現状
イタリアの国およびトレント自治県の法律により、モケーニ語は公的に認められた少数言語の一つである。1990年代以降、保護政策や文化振興が進められており、現地では学校教育への導入や、モケーニ語が併記された道路標識の設置などが行われている。
言語的特徴と例
モケーニ語は標準ドイツ語や他のバイエルン語の方言と意思疎通が部分的に可能な場合もあるが、文法や語彙、発音において独自の発展を遂げており、標準ドイツ語の話し手にとって理解は容易ではない。
キリスト教の祈りである「主の祈り」におけるモケーニ語の表記例は以下の通りである。
Vatar ingar en Himbl, gahailegt kimmp der dai Núm. Der dai Raich schellt kemmen.
よくある質問
モケーニ語はどこで話されていますか?
イタリアのトレント自治県にあるモケーニ渓谷のフィエロッツォ、パルー・デル・フェルシーナ、フラッシロンゴなどの町で話されています。
モケーニ語の話者数はどれくらいですか?
2011年のトレント自治県の国勢調査では、モケーニ語の母語話者は1,660人となっています。
モケーニ語はどのような言語系統に属しますか?
インド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派、西ゲルマン語群の高地ドイツ語(上部ドイツ語・バイエルン語)に属しています。
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参考文献
- Mòcheno at Ethnologue (17th ed., 2013)
- Autonomous Province of Trento: Tav. I.5 - Appartenenza alla popolazione di lingua ladina, mochena e cimbra, per comune di area di residenza (Censimento 2001), 2007.
- Das Vaterunser auf Mòchenisch (Fersentalerisch), Frankfurter Allgemeine Zeitung, 2006.