植物由来油脂・化学品
木蝋の成分・歴史・特徴に関する解説

ハゼノキやウルシの果実から抽出される木蝋(生蝋・白蝋)の化学的特徴、脂肪酸組成、および日本における歴史や用途について詳しく解説します。
📌 主なポイント
- ✓木蝋はワックスエステルではなく中性脂肪を主成分としている。
- ✓ハゼノキやウルシの果実から抽出される。
- ✓1940年に重要輸出品目に指定された歴史を持つ。
木蝋(もくろう、英語: Japan wax)とは、生蝋(きろう)とも呼ばれ、ウルシ科のハゼノキやウルシの果実を蒸したのち、果肉や種子に含まれる脂肪を圧搾するなどして抽出する広義の蝋である。

化学的には狭義の蝋であるワックスエステルではなく、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの中性脂肪を主成分としており、粘性の高い日本酸(Japanic acid)を含んでいる。
特徴と化学的性質
搾ったままのものを生蝋と呼び、収穫した果実をすぐに抽出したものは褐色であるが、寝かせる期間によって黄土色や緑がかった色合いに変化する。また、和ろうそくの仕上げなどには、天日干しなどで漂白した白蝋が用いられる。

1966年に水沼仁宏が報告した油脂恒数によれば、櫨の種類や採油方法、漂白方法などの処理過程によって物理性は大きく異なる。
歴史と用途
かつては和ろうそくのほか、びんつけ、艶出し剤、膏薬などの医薬品や化粧品の原料として広く使用されていた。明治時代まで西日本各地で商品作物として盛んに栽培され、例えば愛媛県の内子では大洲藩の経済を支え、明治期には海外へも輸出された。また、1940年には重要輸出品取締法に基づく重要輸出品目に加えられている。
よくある質問
木蝋の主成分は何ですか?
パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの中性脂肪を主成分とし、日本酸を含んでいます。
生蝋と白蝋の違いは何ですか?
搾ってそのまま冷却して固めたものが生蝋であり、生蝋をさらに天日などにさらして漂白したものが白蝋です。
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参考文献
平岡裕一郎, 大平峰子, 山野邉太郎, 倉本哲嗣, 岡村政則, 藤澤義武「ハゼノキ優良候補木の果実収量と含蝋率の年次変動」『林木育種センター研究報告』第21号, 2005年3月; 水沼仁宏「ヒマシ油・木蝋系の物性論的考察」『日本化粧品技術者連合会会報』第3巻, 1966年.