木炭の歴史、製法、種類および用途の解説

📌 主なポイント
- ✓木炭は、木や木材を低酸素・高温下で炭化させて炭素以外の成分を取り除いたものである。
- ✓日本の木炭は主に「白炭」「黒炭」「成型木炭(オガ炭)」などに分類される。
- ✓戦後のエネルギー需要の変化により、日本の木炭生産量は1950年の約200万トンから大幅に減少した。
- ✓木炭の燃焼時には一酸化炭素が発生するため、屋内での使用には換気が不可欠である。
木炭(もくたん)は、木や木材を材料として低酸素・高温下で炭化させて作る炭である。炭素以外の揮発成分、タール、水分などを取り除くことで生成される。
概要
ほぼ炭素のみの成分となった木炭を燃やす場合、木材をそのまま燃やす場合に比べ、可燃性気体を放出せず炎が上がりにくい性質を持つ。ただし、生成した一酸化炭素が表面付近で燃焼して炎が生じる場合もある。燃焼に伴う煤煙や健康上有害な揮発成分によるガス発生も比較的少ない。
木炭には植物中のカリウムに由来する炭酸カリウムが含まれており、この成分によって着火性が良くなり、灰の中に埋もれるような低酸素濃度中でも燃焼を続ける。ただし、炭酸カリウムは水溶性成分であるため、長く流水に浸した木炭は特徴が失われる。
製造時には木酢液や木タールが発生し、木酢液を蒸留・精製することでメタノールや酢酸などの副生成物を得ることができる。
種類と分類
炭化させる素材や炭化温度、焼成時間などの方法によって木炭の性状は異なり、価格や用途も変化する。日本ではナラ、ブナ、カシ、クヌギなどの木材が主に使われてきたが、近年では竹を炭化した竹炭や、マングローブ等を原料とした輸入炭も存在する。
白炭
カシ系の硬い木材が使われ、叩くと金属音がするのが特徴である。炭窯の温度を約400℃まで上げて熟成させた後、焚き口を開いて未炭化成分を焼き飛ばし、窯内温度を1000℃から1200℃に上昇させてから窯の外へ掻き出す。その後、消し粉をかけて急速に冷却する。硬く焼き締められており、炭素純度が高く、燃焼臭が非常に少なく長時間の安定した火力が持続するため、飲食店などの業務用途で需要が高い。代表例として紀州の備長炭が挙げられる。
黒炭
ナラ系の木材が多く使われる。約400℃で熟成させた後、煙道を閉じ、700℃あたりまで徐々に温度を上げてから密閉し、酸欠状態で自然冷却させて完成する。白炭よりも炭素以外の成分が適度に残るため、火力や燻製のような芳香があり、比較的着火しやすい。バーベキューなどの調理に向いている。
成型木炭(オガ炭)
オガクズを加熱圧縮して製造された成型薪であるオガライトを炭化させたものである。形状や性質が均質であり、白炭に似た特性を持ちながら比較的安価であるため、炭火焼の飲食店などで多用されている。
歴史
日本列島においては新石器時代の頃から木炭が用いられていたと推定されている。平安時代には山林部を中心に炭焼きが広く行われて商品化され、荘園の年貢としても徴収された。
日中戦争から第二次世界大戦にかけては木炭の生産・流通が停滞し、1939年以降は木炭配給統制規則の制定や木炭事務所の設置など国家管理の下に置かれた。戦後も流通統制は1950年3月まで続いたが、同年の年間約200万トンの生産量をピークに、その後のエネルギー革命によって石油や都市ガスへと燃料の主流が変化したため、木炭の生産量は急速に減少した。
用途
燃料用
かつては一般的な家庭用・産業用燃料であったが、現在はキャンプやバーベキューなどのレジャー、あるいは焼き鳥や蒲焼といった飲食店での業務用としての利用が中心である。
使用上の注意として、加熱された木炭の繊維質に閉じ込められた水分や揮発分が急激にガス化・膨張することで激しい音を立てて破砕する「爆跳(ばくちょう)」現象が起きることがある。また、練炭と同様に一酸化炭素などの有害な燃焼ガスを発生するため、室内で使用する際は十分な換気が不可欠である。
美術用
美術分野においては、枝を炭化したものがデッサンや木炭画の下書き用として使用される。また、木炭粉末と粘土を混ぜた芯を持つチャコールペンシルも同様の用途に用いられる。
よくある質問
白炭と黒炭の違いは何ですか?
木炭の爆跳とは何ですか?
木炭を使用する際の注意点は何ですか?
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参考文献
- 田村憲美『歴史学事典』第14巻「木炭」(弘文堂)
- 林野庁木炭関係資料
- 国民生活センター「いろり座卓使用時の一酸化炭素中毒に注意!」