宗教儀式としての沐浴の歴史と各宗教における実践

📌 主なポイント
- ✓沐浴は、からだを水などで洗い清める宗教的儀式や習慣の総称である。
- ✓ヒンドゥー教ではガンジス川などの聖地や寺院の貯水池で沐浴が行われる。
- ✓イスラム教では全身を清めるグスルや部分的に洗うウドゥなどの法典が定められている。
- ✓日本においては神道の禊や仏教寺院による施浴、海水を用いた潮浴などの歴史がある。
沐浴(もくよく、ablution)とは、からだを水で洗い潔めることを指し、宗教的な儀式として行われることが多い。一般的に水や湯が用いられるが、煙や火、香料などによってけがれを落とすことも沐浴に含まれる。多くの宗教において、参拝や礼拝の前に手や足、顔、口など体の一部を水で洗う行為も沐浴の一種である。
記録に残る最も古い沐浴の習俗としては、古代ギリシャのエレウシスで行われていた「神秘」と呼ばれる神秘主義者達による海での浄化の儀式が挙げられる。

ヒンドゥー教における沐浴
ヒンドゥー教では、沐浴を行うことで罪を流し功徳を増すと信じられている。ヒンドゥー教徒の多くは1日の始まりに寺院の貯水池や川で沐浴を行い、聖地が集積するガンジス川での沐浴の光景が広く知られている。
また、12年に一度などの頻度でインドのイラーハーバードなどで「クンブ・メーラ」と呼ばれる最大の祭典が開催される。
ユダヤ教における沐浴
ユダヤ教では、全身を水に浸し潔めることをテヴィラー(tevilah)、手を水で潔めることをネティラト・ヤダイム(netilat yadayim)と呼ぶ。

キリスト教における洗礼
キリスト教における沐浴は「洗礼」として知られている。『マタイによる福音書』および『マルコによる福音書』によれば、イエス自身もヨルダン川でバプテスマのヨハネから洗礼を受けたとされる。
イスラム教におけるグスルとウドゥ
イスラム教では沐浴をグスル(Ghusl)と呼ぶ。精液の出た後や出産後、巡礼の衣を着用する前などに行うことが規定されている。また、水で部分的に洗う行為をウドゥ(Wudu)、水が無いときに砂や石で清める行為をタヤンムムと呼ぶ。


日本における沐浴と禊
日本の神道には、滝や川でけがれを祓う禊や垢離が存在する。神社の境内にある手水舎での手洗いや口すすぎも禊や沐浴の一種とされる。

日本への仏教伝来以降は寺院に温堂や浴堂が建築され、僧侶だけでなく貧しい人々や病人などを対象とした施浴が行われた。また、江戸時代には関西を中心に、旧暦6月14日に住吉大社前の長狭浦の海水を浴びる「住吉の泥湯(潮湯)」と呼ばれる海水での沐浴の風習がみられた。