音響機器
モスキートデバイス:高周波音響装置の概要と社会的論争

若者や害獣を遠ざけるために使用される高周波音響装置「モスキートデバイス」の仕組み、導入事例、および人権や健康への影響に関する議論を解説します。
📌 主なポイント
- ✓モスキートデバイスは17kHz前後の高周波音を発生させ、若者や動物を遠ざけるために使用される。
- ✓加齢性難聴により、高齢者はこの高周波音を聞き取れないことが多い。
- ✓人権侵害や健康被害の観点から、世界各地で撤去を求める運動や議論が行われている。
- ✓日本国内では法的規制が存在せず、猫よけや害獣対策として一般販売されている。
モスキートデバイス(Mosquito device)は、主に若者や害獣を特定の場所から遠ざける目的で開発された音響装置です。約17kHzという非常に高い周波数の音(モスキート音)を発生させるのが特徴で、この音は加齢に伴う聴力低下(加齢性難聴)により、高齢者には聞き取りにくく、若者や子供には不快な音として認識されるという特性を利用しています。

開発の背景と仕組み
この装置は、イギリスの企業Compound Security Systemsによって開発されました。2005年頃から商店街などでたむろする若者対策として導入が始まり、その後、世界各地の公共施設や商業施設に普及しました。装置から発せられる高周波音は、内耳の細胞が若いうちは敏感に反応しますが、加齢とともに高音域を聞き取る能力が低下するため、世代間で聞こえ方に大きな差が生じます。

人権と健康への影響
モスキートデバイスの使用については、国内外で激しい議論が続いています。主な批判点は、対象を選択できない音波の性質上、無関係な子供や自閉症などの聴覚過敏を持つ人々、さらには動物に対しても無差別に苦痛を与えるという点です。

人権団体や一部の自治体からは、これが子供に対する暴行や人権侵害にあたる可能性があるとの指摘がなされています。また、使用者が自分には聞こえない音量で装置を操作するため、意図せず危険な音量に設定されてしまうリスクも懸念されています。

日本国内の状況
日本においても、公園での若者のたむろ防止や、住宅街での害獣対策として導入されるケースが見られます。しかし、法的規制が整備されていないため、近隣住民とのトラブルに発展する事例も報告されています。例えば、2024年には住宅地での使用が原因で近隣住民が体調不良を訴えるトラブルが発生しました。

よくある質問
なぜ高齢者にはモスキート音が聞こえないのですか?
加齢に伴い、内耳の蝸牛にある高音域を感知する細胞が徐々に減少・老化するため、高い周波数の音を聞き取る能力が低下する「加齢性難聴」が起こるためです。
モスキートデバイスは人体に害がありますか?
大音量の高周波音は聴覚に悪影響を及ぼす可能性があり、特に聴覚過敏を持つ人や子供、動物にとっては強い苦痛や体調不良の原因となることが報告されています。
日本でモスキートデバイスを規制する法律はありますか?
現時点では、日本国内においてモスキートデバイスの使用や音量を直接的に規制する法律は存在しません。
関連記事
加齢性難聴超音波社会的排除排除アート騒音公害
参考文献
- 済生会「加齢性難聴とは」
- The Independent: The use of sonic ‘anti-loitering’ devices is breaching teenagers’ human rights
- Children and Young People's Commissioner Scotland: Mosquito devices and the rights of children and young people
- NHKライフチャット: モスキート音のような高い音が住宅街でも聞こえる 猫よけ?ネズミよけ?
- FNNプライムオンライン: 【独自】子どもが泣き叫び嘔吐…隣家からのモスキート音原因か?