地球科学

河川における網状流路の地形学と形成メカニズム

河川における網状流路の地形学と形成メカニズム
網状流路(網状河道)の定義、形成される条件やプロセス、世界および日本国内の代表的な河川の事例について地学の観点から解説します。

📌 主なポイント

  • 網状流路は、運搬作用よりも堆積作用が勝る環境で形成されやすい。
  • 流路を分ける不安定な島は砂礫堆と呼ばれ、水流によって下流へ移動する。
  • イタリアのタリアメント川やインドのブラマプトラ川などが代表的な例として知られている。

網状流路(もうじょうりゅうろ、英語: braided stream または braided channel)とは、河川の流路が幾本にも分かれ、水流の中に不安定な小島を作りながら網の目のように流れる状態を指す。網状河道(もうじょうかどう)とも呼ばれる。

英語の「braided」は「編み紐のように寄り合わされた」という意味を持ち、河川が複雑に分岐と合流を繰り返す様子を表現している。

概説と特徴

網状流路は、複数の流路が分かれて流れる現象全般を指すが、河川の中央に安定した島が存在し、それが原因で流路が固定されている「吻合流路(ふんごうりゅうろ、anastomosing channel)」とは明確に区別される。

網状流路の場合、流路を隔てている川の中の島は非常に不安定である。水流の変化などにより島が頻繁に移動したり、流路が変わり続けることで島が岸と結合したりする。この不安定な島は砂礫堆(させきたい)と呼ばれ、構成する砂や礫が水流によって少しずつ流されることで、下流側へと徐々に移動していく。

img src=

よくある質問

網状流路と吻合流路の違いは何ですか?
網状流路を隔てる島(砂礫堆)は不安定で頻繁に移動や消失を繰り返しますが、吻合流路の島は比較的安定しており、流路が固定されている点が異なります。
網状流路はどのような場所で形成されやすいですか?
流量が頻繁に変化する場所、勾配が緩やかになって流速が落ちる場所、河床の砂礫などの掃流物質が多い場所(扇状地や河口州など)で形成されやすくなります。
網状流路の英語表現は何ですか?
英語では「braided stream」や「braided channel」、あるいは「braided river」と呼ばれ、編み紐に例えられた表現となっています。

関連記事

扇状地三角州河川地形堆積作用

参考文献

地学団体研究会 編『地学事典』新版、平凡社、1996年、1090頁。
国土地理院「河川の作用による地形」(2026年5月4日閲覧)。
Susan Mayhew 編『オックスフォード 地理学辞典』朝倉書店、2003年、179, 309頁。