霧氷の科学的分類と気象学的特性

📌 主なポイント
- ✓霧氷は、樹氷、粗氷、樹霜の3つの着氷・昇華現象の総称である。
- ✓樹氷は気温−5℃以下、風の弱い環境で過冷却水滴が付着して形成される白色で脆い氷層である。
- ✓アイスモンスターは、東北地方などの山岳地帯で針葉樹が樹氷や雪に覆われて巨大化したものである。
霧氷(むひょう、英: rime)は、氷点下の環境において過冷却された霧粒子や雲粒子が樹木などの地物に付着して発達する現象、あるいは空気中の水蒸気が物体表面に昇華して形成される現象の総称である。
霧氷の分類と基本形態
気象観測上、霧氷は主に樹氷、粗氷、樹霜の3つに分類される。いずれも平地より山地で発生しやすく、冬期の寒冷な山岳地帯において典型的な姿が観察される。
樹氷
樹氷(じゅひょう、英: soft rime)は、過冷却水滴からなる濃霧や雲の粒子が地物に衝突して凍結付着した氷層のうち、白色で脆いものを指す。気温−5℃以下、風速1から5メートル毎秒程度の比較的風の弱いときに発達する傾向がある。微細な粒状の氷が無数に凝集した構造をしており、手で触れると簡単に崩れるほどもろい。風上側に向かって羽毛状やうろこ状に成長し、俗に「海老の尻尾」と呼ばれる形態をとることが多い。
粗氷
粗氷(そひょう、英: hard rime)は、過冷却水滴からなる濃霧が地物に衝突して凍結付着した氷層のうち、半透明のものをいう。気温が−2℃から−10℃程度の範囲で形成されやすく、樹氷よりも硬く、物体から削り落とすことができる程度の硬度を持つ。氷の粒同士が融合して大きな塊を形成するため、樹氷のような微細な凝集構造は目立たない。
樹霜
樹霜(じゅそう、英: hoarfrost)は、空気中の水蒸気が昇華して木の枝や電線などの地物に付着した、樹枝状ないし針状の結晶である。霧粒が存在しない氷過飽和の気象条件下でも、風の弱い晴れた夜から朝にかけて発生する。通常の地上付近の霜とは異なり、地面から離れた高い枝などにも付着するのが特徴である。
山岳におけるアイスモンスターの形成
山岳地帯の亜高山帯に生育するオオシラビソ(アオモリトドマツ)などの常緑針葉樹が、樹氷や雪片に覆われて巨大な氷雪の塊に成長したものは、一般にアイスモンスター(スノーモンスター)と呼ばれている。冬の季節風によって雪交じりの霧や雲が長時間吹き付けることで形成される。国内では蔵王連峰や八甲田山などが著名な発生地として知られている。
用語の変遷
日本における気象用語としての霧氷の分類は、明治時代以降の観測法の改定に伴って整備されてきた。1915年の気象観測法改正で「樹氷」から「霧氷」への呼称の整理が行われ、1929年の改正において「樹氷」「粗氷」「樹霜」の3分類が確立された。現在でも国際的な気象分類との間には若干の定義の差異が存在する。