社会学

成金:定義、歴史的背景および社会的評価

成金:定義、歴史的背景および社会的評価
「成金」という言葉の語源、将棋との関連、歴史的背景、および社会的評価について解説します。急激に富裕になった層に対する呼称の変遷を辿ります。

📌 主なポイント

  • 「成金」の語源は、将棋で駒が「成る」ことに由来する俗称である。
  • 第一次世界大戦中の大戦景気により、日本国内で急激に富裕になった層を指して広く使われるようになった。
  • アリストテレスの『弁論術』では、急激に富を得た者の傲慢さや欠点が指摘されている。
  • 英語圏ではフランス語由来の「ヌーヴォーリシュ(nouveau riche)」という言葉が同様の意味で用いられる。

成金(なりきん)とは、急激に富裕になった人物を指す日本語である。元来は将棋の用語に由来する言葉であり、社会的な文脈では「成り上がり者」や「アップスタート」と同義で用いられる。フランス語や英語では「ヌーヴォーリシュ(nouveau riche)」と表現される。

語源と将棋における由来

「成金」という言葉は、将棋のルールに由来する。将棋において、歩兵や香車、桂馬、銀将が敵陣に進入して「成る」と、金将と同じ動きが可能となる。これらの駒が裏返った際に記される文字が「金」の崩し字であることから、俗に「成金」と呼ばれるようになった。ただし、将棋の正式な用語としては「と金」などが用いられ、「成金」はあくまで俗称である。

歴史的背景と社会的評価

日本において「成金」という言葉が広く普及したのは、第一次世界大戦による大戦景気の時期である。短期間で莫大な富を築いた人々が続出したことで、この言葉は一般化した。政府はこうした急激な富裕層を対象とした「戦時利得税」を創設し、国家財政の補填に充てた事例も存在する。

鈴木久五郎と並び称された相場師成金の村上太三郎
鈴木久五郎と並び称された相場師成金の村上太三郎

哲学的・批判的考察

古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、その著書『弁論術』の中で、急激に富を得た者の性質について言及している。アリストテレスは、成金が傲岸不遜になりやすく、金銭を評価の唯一の基準とする傾向があることを指摘した。こうした評価は、時代を超えて富裕層に対する社会的な反感や嘲罵の文脈で引用されることが多い。

現代においても、「成金趣味」という言葉が存在し、金銭の力で上品を装う態度や、過度な贅沢を誇示する行為を批判的に指す言葉として定着している。一方で、個々の富裕層が必ずしもそのような性質を持つわけではなく、あくまで特定の層に向けられた否定的なレッテルとして機能している側面がある。

よくある質問

成金という言葉は将棋の正式用語ですか?
いいえ、正式な将棋用語ではありません。歩兵などが成った駒は「と金」や「成銀」などと呼ばれ、「成金」はあくまで俗称です。
成金とヌーヴォーリシュは同じ意味ですか?
はい、どちらも急激に富裕になった層を指す言葉として同義で用いられます。
なぜ成金は批判的に扱われることが多いのですか?
急激な富の獲得に伴う傲慢さや、金銭を誇示する態度が周囲の反感や嘲罵を招くことが多いためです。

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参考文献

  • アリストテレス『弁論術』第二巻第十六章(1390b・1391a)
  • 国税庁「大戦景気と『成金税』(答え)」
  • 李登輝『Voice』2013年5月号(PHP研究所)