林学
天然林の定義と生態的特性

天然林の定義、人工林との違い、および国際的な分類基準について解説します。自然の力で更新される森林のメカニズムと、その成長特性に関する情報をまとめました。
📌 主なポイント
- ✓天然林は主に天然更新によって樹木が構成される森林である。
- ✓FAOの世界森林資源評価(FRA)では、天然更新林と人工林を明確に区別している。
- ✓天然林には、人為的影響の度合いに応じて天然生林や育成天然林などの区分が存在する。
- ✓森林の成長率は、管理形態や遷移段階によって大きく変動する。
天然林(てんねんりん)とは、主に自然の力によって形成され、天然更新によって樹木が構成される森林を指します。人為的な植林や播種によって成立する人工林の対義語として用いられます。
国際的な分類と定義
国際連合食糧農業機関(FAO)が実施する世界森林資源評価(FRA)では、森林をその成立過程に基づいて分類しています。FRA2020の基準では、天然更新による樹木の構成が優先する森林を「天然更新林(Naturally regenerating forest)」、植林や播種によって成立した樹木が優先する森林を「人工林(Planted forest)」と定義しています。

森林の分類と用語
天然林は、人為的な影響の度合いや遷移段階によって細分化されることがあります。厳密には、人為的な介入がないあらゆる遷移段階(初期段階から極相まで)を含む森林を指しますが、実際には以下のような区分が用いられることもあります。
- 天然生林:天然林としての要素を持ちつつも、過去の伐採などにより人為的な影響を受けている森林。極相に達すれば天然林と同様の構造となります。
- 育成天然林:天然林に対し、稚樹の不足部分への植栽など、部分的に人為的な管理を加えた森林。
- 自然林:一般的に人為の影響が少なく、ある程度遷移段階が進んでいる森林を指す広義の用語です。
- 原生林:過去に人為的な介入がなく、大規模な自然攪乱の痕跡も認められない森林を指します。ただし、歴史的に人為的な痕跡が消失している場合も原生林と呼称されることがあります。
成長率と経済的特性
天然林の成長率は、森林の管理状態や樹齢によって異なります。かつての経済分析によれば、定期的に伐採が行われる薪炭林では年率5.7%の成長率が記録された一方、成長しきった天然性過熟林では1.6%にとどまるというデータがあります。薪炭林は成長率が高い反面、蓄積量が過少になりやすいという特徴を持っています。
よくある質問
天然林と人工林の主な違いは何ですか?
主な違いは成立過程にあります。天然林は自然の力による更新が優先されるのに対し、人工林は植林や播種など人為的な手段によって成立した樹木が優先されます。
天然生林とはどのような森林ですか?
天然林としての性質を持ちながら、過去の伐採などの人為的な攪乱を受けた森林を指します。時間の経過とともに極相に達すれば、天然林と同様の生態的構造を持つようになります。
原生林と天然林の違いは何ですか?
原生林は、人為的な介入や大きな自然攪乱の痕跡が全くない森林を指す厳密な用語です。一方、天然林はより広い概念であり、自然の力で更新されている森林全般を指します。
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参考文献
- 茨城県「森林・林業用語の解説」
- 林野庁「世界森林資源評価(FRA)2020メインレポート 概要」
- 林野庁「用語解説」
- 経済企画庁「昭和32年度年次経済報告 昭和31年度の林産物の動向」