自然科学

系 (自然科学)

自然科学における「系(システム)」の定義、外界との境界、および熱力学的な開放系・閉鎖系・孤立系などの分類について解説する百科事典記事。

📌 主なポイント

  • 自然科学における「系」とは、自然界のうち考察の対象として注目している部分を指す。
  • 系以外の部分は「外界」と呼ばれ、通常は系への影響のみが考慮され、逆の影響は無視される。
  • 熱力学的な観点において、系は外界との物質やエネルギーのやり取りに基づき、開放系、閉鎖系、断熱系、孤立系などに分類される。

自然科学における(けい、英語: system)とは、自然界のうちで考察の対象として注目している特定の部分を指す。分野や考察の内容に応じて、力学系、生態系、太陽系、実験系などと呼ばれる。考察の対象とされない残りの部分は外界(がいかい)として区別される。

外界との関係と基本概念

外界は系に比べて非常に大きく、外界が系に影響を及ぼして系の状態変化を引き起こすことがあっても、系が外界に及ぼす影響は無視できるという仮定のもとで考察の対象から外される。外界の状態は常に一定であると仮定されたり、単純な変化をするものとして扱われたりする。また、観測者は通常、外界にいるものとして考察の対象外とされる。

物理学においては、系を古典論で記述する場合は古典系、量子論で記述する場合は量子系と呼ぶ。

熱力学的な分類

熱力学の観点では、系は外界との間で許されるエネルギーや物質の移動形態によって分類される。エネルギーの移動形態には、仕事、熱、および物質(質量)の移動に伴うエネルギーが含まれる。

  • 開放系(開いた系):外界との間で物質の移動を許す系。生物の多くは熱力学的に見て開放系に属している。
  • 閉鎖系(閉じた系):外界との間で物質の移動を許さない系。
  • 断熱系:閉鎖系のうち、物質の移動に加えて熱によるエネルギーの移動も許さない系。
  • 孤立系:あらゆるエネルギー(物質、熱、仕事)の移動を一切許さない系。

エネルギーや物質の移動に制限がある系では、その制限に応じた法則が成り立つ。例えば、孤立系ではエネルギー保存則が、断熱系ではエントロピー増大則が、閉鎖系では質量保存則がそれぞれ成り立つ。

熱浴と粒子浴

系が熱を交換する外界は熱浴(heat bath)と呼ばれ、質量を交換する外界は粒子浴(particle bath)と呼ばれる。

よくある質問

自然科学における「系」とは何ですか?
自然界のうちで、研究や考察の対象として特別に注目している部分のことです。
系と外界の違いは何ですか?
考察の対象として選ばれた部分が「系」であり、それ以外の周囲の領域が「外界」と呼ばれます。
孤立系とはどのような系ですか?
外界との間で物質、熱、仕事など、あらゆるエネルギーの移動を一切許さない系のことです。

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熱力学物理学古典力学量子論エネルギー保存則

参考文献

  • Peter Atkins, Julio de Paula 著、千原秀昭, 稲葉章 訳『アトキンス物理化学要論』第4版、東京化学同人、2007年、37頁。
  • 土井勝『物理学入門』日科技連、2005年、46頁。
  • 清水明『新版 量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために―』サイエンス社、2004年。