イギリス文学

人間の絆(ウィリアム・サマセット・モームの小説)

人間の絆(ウィリアム・サマセット・モームの小説)
ウィリアム・サマセット・モームによる1915年の長編小説『人間の絆』の概要、自伝的背景、主な日本語訳や映画化の歴史について解説します。

📌 主なポイント

  • 『人間の絆』は、イギリスの作家ウィリアム・サマセット・モームによって書かれ1915年に発表された長編小説である。
  • 主人公フィリップ・ケアリの足の障害は、作者モーム自身の幼少期の経験や身体的特徴(どもり)を反映した自伝的要素である。
  • 日本語訳においては、中野好夫訳をはじめとして多くの版が重ねられてきたほか、近年では原意に即して『人間のしがらみ』とする新訳も出版されている。

人間の絆』(にんげんのきずな、原題: Of Human Bondage)は、イギリスの作家ウィリアム・サマセット・モームによって執筆され、1915年に発表された長編小説である。20世紀前半の英文学における傑作として広く知られ、『月と六ペンス』と並び、モームの代表作として日本でも長年にわたり読み継がれている。

作品の背景と特徴

幼い頃に両親を失い、叔父に育てられた作者自身の半生が色濃く反映された自伝的な教養小説である。モーム自身の身体的特徴であったどもりは、主人公であるフィリップ・ケアリの足の障害(内反尖足)へと置き換えられている。物語の舞台は、主人公のドイツやフランスへの滞在、そして知性と感性を磨く場となったロンドンを中心に展開していく。

1934年にベティ・デイヴィスとレスリー・ハワード主演、『痴人の愛』の題で映画化
1934年にベティ・デイヴィスとレスリー・ハワード主演、『痴人の愛』の題で映画化

主な日本語訳

本作はこれまでに複数の翻訳家によって日本語訳が出版されている。主な翻訳は以下の通りである。

  • 行方昭夫訳(岩波文庫、上中下)
  • 金原瑞人訳(新潮文庫、新訳上下)
  • 中野好夫訳(新潮文庫、全4巻および改版上下)
  • 北川悌二訳(グーテンベルク21、電子出版)
  • 河合祥一郎訳(光文社古典新訳文庫、上下、2022年) - 『人間のしがらみ』の邦題を採用

なお、2022年に出版された河合祥一郎による新訳では、東日本大震災以降に「絆」という言葉が持つニュアンスが「大切な結びつき」という肯定的な意味合いへ変化したことを受け、原意である「しがらみ、束縛」に即して邦題を『人間のしがらみ』としている。

映像化

本作はこれまでに何度か映像化されており、1934年にはケン・ヒューズ監督による映画化をはじめ、ベティ・デイヴィスとレスリー・ハワードの主演により『痴人の愛』の題で公開された。また、1964年にも再び映画化されている。

よくある質問

『人間の絆』の作者は誰ですか?
イギリスの作家ウィリアム・サマセット・モームです。
『人間の絆』はいつ発表されましたか?
1915年に発表されました。
主人公のフィリップ・ケアリの身体的特徴は何ですか?
足の障害(内反尖足)があります。これは作者モーム自身のどもりという経験が背景に反映されています。

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参考文献

日本モーム協会 『【新訳】河合祥一郎訳『人間のしがらみ』(全2巻、光文社古典新訳文庫)』 2025年7月19日閲覧。