ノルン語:北部諸島のかつての北ゲルマン語

📌 主なポイント
- ✓ノルン語は、オークニー諸島、シェトランド諸島、ケイスネスで話されていた北ゲルマン語群の言語である。
- ✓8世紀から9世紀にかけてのヴァイキングの移住に伴い、古西ノルド語を基礎として成立した。
- ✓15世紀のスコットランド王国への帰属変更などを経て地位が低下し、18世紀から19世紀にかけて消滅した。
- ✓言語学者ヤクプ・ヤコブセンらによって、消滅後の言語資料や語彙が後世に記録された。
ノルン語(Norn)は、スコットランド北方のオークニー諸島、シェトランド諸島、およびスコットランド本土のケイスネスにおいて、かつて話されていたインド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派北ゲルマン語群西スカンジナビア諸語に属する言語である。
オークニー諸島およびシェトランド諸島は、もともとピクト人によるブリソン諸語が用いられていた地域であり、その後ゲール人の影響下で古アイルランド語も存在していた。しかし、8世紀から9世紀にかけて古ノルド語を話すヴァイキングのノース人が侵入し、875年にノルウェー王国に併合された。これにより、地域で使用される言語は古西ノルド語を基礎とするノルン語へと移行した。

1468年、これらの諸島がデンマーク・ノルウェー王国の王女の持参金の担保としてスコットランド王国へ質入れされ、最終的にスコットランドの領土となったことで状況が大きく変化した。スコットランドの支配下で行政や公用語としてのノルン語の地位は低下し、徐々にスコットランド低地語諸島部方言へと置き換わっていった。ノルン語は18世紀にはほとんど話されなくなり、遅くとも19世紀頃には完全に消滅したとされる。
ノルン語は、他の北ゲルマン語群の言語と非常に近い特徴を持っていた。文法構造としては、2つの数、3つの性、そして4つの格(主格、属格、与格、対格)が存在し、動詞の現在形および過去形の活用も維持されていた。また、現代のスカンジナビア諸語と同様に、定冠詞を前置するのではなく名詞の語尾に接尾辞として付加する特徴を持っていた。
ノルン語の消滅後、その語彙や断片的な伝承はスコットランド低地語諸島部方言の中に少なからず残された。19世紀末には、フェロー諸島の言語学者であるヤクプ・ヤコブセンが現地を訪れ、遺された方言や歌、なぞなぞ(“guddick”)などの調査・研究を行い、辞書の編纂などを行った。

よくある質問
ノルン語はどの言語系統に属しますか?
ノルン語はいつ頃消滅しましたか?
ノルン語が話されていた地域はどこですか?
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参考文献
- Barnes, Michael P. "Orkney and Shetland Norn". In Language in the British Isles, ed. Peter Trudgill, 352-66. Cambridge: Cambridge University Press, 1984.
- Jakobsen, Jakob. An Etymological Dictionary of the Norn Language in Shetland. 2 vols. London/Copenhagen: David Nutt/Vilhelm Prior, 1928-32.
- Hugh Marwick. The Orkney Norn. London: Oxford University Press, 1929.