言語学

ノルウェー語の言語体系と歴史的背景

ノルウェー語の言語体系と歴史的背景
ノルウェー語の歴史、ブークモールとニーノシュクの二重言語体制、およびその言語的特徴について解説します。

📌 主なポイント

  • ノルウェー語はインド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派北ゲルマン語群に属する。
  • 公的な書記言語としてブークモールとニーノシュクの二つが存在する。
  • 1814年の独立以降、独自の書記言語確立に向けた政策が推進された。
  • ラテン文字に加え、æ、ø、åの3文字を使用する。

ノルウェー語(norsk)は、インド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派北ゲルマン語群に属する言語です。古ノルド語から派生したこの言語は、北欧の歴史的変遷を経て、現在ではブークモール(bokmål)とニーノシュク(nynorsk)という二つの公的な書記言語を持つ特異な言語状況にあります。

歴史的背景

ノルウェー語の書記言語としての歴史は、14世紀の黒死病による人口減少と、それに続くデンマークとの同君連合(1380年〜)に大きく影響を受けています。16世紀の宗教改革以降、デンマーク語が行政や教育の場における書記言語として定着しました。1814年のデンマークからの独立後、ノルウェー独自の国家意識が高まる中で、書記言語をいかに確立するかが重要な政治的課題となりました。

19世紀には、デンマーク語をベースにノルウェー語の語彙や構文を取り入れた「リクスモール(後のブークモール)」と、ノルウェー各地の方言を基盤としてイーヴァル・オーセンが構築した「ランスモール(後のニーノシュク)」という二つの潮流が生まれました。これらは1885年に法的に同等と認められ、現在に至るまでノルウェーの公用語として共存しています。

各自治体におけるブークモール/ニーノシュクの採用状況
各自治体におけるブークモール/ニーノシュクの採用状況

二重言語体制

ノルウェーでは、ブークモールとニーノシュクの双方が公用語として認められています。政府機関や公文書では両方の言語が使用され、国民は双方の言語に触れる教育を受けています。民間出版物においてはブークモールが圧倒的なシェアを占めますが、ニーノシュクも特定の地域や文化圏で根強く維持されています。

言語的特徴

ノルウェー語はラテン文字を使用し、アルファベット26文字に加えて「æ」「ø」「å」の3文字を用います。文法面では、名詞の性(通性・中性、あるいは男性・女性・中性)による冠詞や形容詞の変化が特徴的です。方言の多様性も顕著であり、山岳地帯やフィヨルドによって隔てられた地域ごとに、独自の語彙や発音が保持されています。ノルウェーではこれらの方言が社会的にも尊重される傾向にあります。

よくある質問

ブークモールとニーノシュクの違いは何ですか?
ブークモールはデンマーク語の影響を色濃く残す穏健的な書記言語であり、ニーノシュクはノルウェーの伝統的な方言を基盤として構築された言語です。
ノルウェー語にはいくつの性がありますか?
ブークモールでは通性と中性の二つが基本ですが、ニーノシュクでは男性、女性、中性の三つに分類されます。近年ではブークモールでも三つの性を区別する傾向が見られます。
ノルウェー語の方言はどのような状況ですか?
ノルウェーは地形的な要因から方言が非常に多様であり、各地域で独自の語彙や発音が保持されています。他国と比較して方言の社会的地位が高いのが特徴です。

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ブークモールニーノシュク北ゲルマン語群古ノルド語

参考文献

森信嘉「ノルウェーにおける言語状況と言語政策・言語教育政策」『平成18-20年度科学研究費補助金「拡大EU諸国における外国語教育政策とその実効性に関する総合的研究」研究成果報告書』、東京外国語大学、2009年。