布(繊維製品)の概要と歴史
📌 主なポイント
- ✓人類が衣服を着用し始めたのは、シラミの遺伝子研究に基づくと約7万年前と推定されている。
- ✓古代中国や日本において、布は租税として納められる重要な物品であり、貨幣としての役割も果たしていた。
- ✓布は製造方法により、糸を交差させる「織物」と、糸をループ状に絡ませる「編物(ニット)」に大別される。
布(ぬの)とは、一般的に繊維を加工して作られた薄いシート状の製品を指します。広義には織物だけでなく、編物(ニット)、フェルト、不織布なども含まれる総称です。人類の歴史において、布は単なる衣類としての役割を超え、税の支払い手段や貨幣としての価値を持つなど、社会経済の基盤を支える重要な素材として扱われてきました。
人類と布の歴史
人類がいつ頃から衣服を着用し始めたかについては、生物学的な観点から研究が進められています。アタマジラミから変異したコロモジラミの遺伝子解析に基づくと、人類が衣服を着用し始めたのは約7万年前であるという説が提唱されています。
文明の発展に伴い、布の製造技術も進化しました。古代中国では西周時代にはすでに織機が使用されていたとされており、前漢時代の馬王堆王墓からは、当時の布や布に文字を記した「帛書」が出土しています。また、古代中国や日本において、布は租税として納められる重要な物品であり、貴重な材質のものは貨幣の代わりとしても流通しました。
日本の布の歴史
日本における布の概念は時代とともに変遷しました。飛鳥時代の『大宝律令』に基づく租庸調の制度では、調として布が納められました。当時の日本では絹は別格の扱いであり、布とは麻、苧(からむし)、葛(くず)、藤、楮(こうぞ)などの植物繊維から作られたものを指していました。木綿や毛織物は当時の日本には存在していませんでした。
また、日本において古くから利用されてきた大麻布は、生活や産業の多岐にわたる分野で活用されてきました。戦後の占領期に大麻栽培が制限された経緯がありますが、現在でも伝統文化の維持などの目的で、許可された業者によって栽培と繊維製造が継続されています。
製造と分類
布は糸を紡ぎ、それを組み合わせて製造されます。糸を縦横に交差させる工程を「織る」と呼び、そのための機械を「機(はた)」と称します。現代では、製造方法や素材によって多種多様な分類がなされています。
織物組織
織り方による分類には、平織、綾織(ツイル)、朱子織などがあり、それぞれ組織の構造によって強度や光沢、肌触りが異なります。また、用途や素材に応じて、リネン、デニム、帆布、ガーゼなど、数多くの種類が存在します。
編物組織(ニット)
編物は糸をループ状に絡ませて作る組織で、緯編(よこあみ)と経編(たてあみ)に大別されます。天竺編みやゴム編み、トリコットなどが代表的な組織として知られています。
素材の種類
布の原料となる繊維は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
- 天然繊維:木綿、絹、麻、ウール、カシミアなど
- 再生繊維:レーヨン、キュプラ、アセテートなど
- 合成繊維:ナイロン、ポリエステル、ポリウレタンなど
よくある質問
布と織物の違いは何ですか?
人類はいつから衣服を着用し始めたのですか?
古代の日本で「布」と呼ばれていたものは何ですか?
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参考文献
- Whitfield, John (2003年8月20日). “Lice genes date first human clothes”. Nature. doi:10.1038/news030818-7.
- 日本繊維製品・クリーニング協議会. “人と被服の関係はいつどのようにして始まったのでしょうか。シラミの研究から約7万年前だという説があります”.
- 一般社団法人『伊勢麻』振興協会. “麻とは”.
- 古代織産地連合会公式サイト. “大麻布”.