言語学
ニーノシュク:ノルウェーの公用語としての歴史と特徴
ノルウェーの公用語の一つであるニーノシュク(新ノルウェー語)の歴史、イーヴァル・オーセンによる言語運動、およびブークモールとの関係について解説します。
📌 主なポイント
- ✓ニーノシュクはノルウェーの二つの公認文語の一つである。
- ✓19世紀にイーヴァル・オーセンがノルウェー各地の方言を基盤として創設した。
- ✓1929年に「ランスモール」から「ニーノシュク」へと名称が変更された。
- ✓ブークモールと比較して、デンマーク語の影響を排除し、ノルウェー固有の言語的ルーツを重視している。
ニーノシュク(nynorsk、「新ノルウェー語」の意)は、ブークモール(bokmål、「書籍の言葉」の意)と並び、ノルウェーにおいて公認されている二つの文語(書き言葉)の一つです。ノルウェーの言語政策において、独自の地位を占めています。
歴史的背景
ニーノシュクは、19世紀に言語学者イーヴァル・オーセンが提唱した言文一致運動に端を発します。当時、ノルウェーの文語はデンマーク語の影響を強く受けていました。オーセンは、デンマーク語の影響を排除し、ノルウェー各地で話されている方言を基盤とした独自の書き言葉を構築することを目指しました。
当初、この言語は「ランスモール」(landsmål、土語や田舎の言葉の意)と呼ばれていました。これに対し、デンマーク語を基盤としつつノルウェー式に調整された文語は「リクスモール」(riksmål、国語の意)と呼ばれていました。1929年、ランスモールは「ニーノシュク」と改称され、現在に至ります。
言語的特徴と位置づけ
ニーノシュクは、特定の都市部の方言ではなく、ノルウェー各地の方言を統合して政策的に構築された言語です。このため、デンマークやスウェーデンに近い東部ノルウェーの話し言葉とは構造的な距離があります。また、より伝統的な形式を維持する亜種として「ヘーグノシュク」(høgnorsk)が存在します。
現状と社会的な状況
ノルウェーでは、ブークモールとニーノシュクの二つの書き言葉を巡る議論が長年続いてきました。現在、使用人口や自治体での採用率においてはブークモールが圧倒的多数を占めています。しかし、ニーノシュクはノルウェーの文化的アイデンティティを象徴する言語として、公的な教育や行政において重要な役割を果たし続けています。
よくある質問
ニーノシュクとブークモールの主な違いは何ですか?
ブークモールはデンマーク語の文語を基盤にノルウェー式に調整されたものですが、ニーノシュクはノルウェー各地の方言を基盤として政策的に構築された言語です。
ニーノシュクは現在でも広く使われていますか?
ノルウェー国内での使用人口や採用率はブークモールが圧倒的ですが、ニーノシュクは公用語として教育や行政において現在も使用されています。
イーヴァル・オーセンとは誰ですか?
19世紀のノルウェーの言語学者で、デンマーク語の影響を脱し、ノルウェー独自の書き言葉を確立するための言語運動を主導した人物です。
関連記事
ノルウェー語ブークモール北ゲルマン語群イーヴァル・オーセン
参考文献
- Språkrådet (ノルウェー言語評議会) 公式資料
- ノルウェー語の言語政策に関する歴史的文献