海洋学

海流のメカニズムと海洋循環

海流のメカニズムと海洋循環
地球規模で発生する海水の水平方向の流れである海流について、その成因、分類、気候や漁業への影響を解説します。

📌 主なポイント

  • 海流は地球規模で発生する海水の恒常的な水平方向の流れである。
  • 成因により、風成循環(表層)と熱塩循環(深層)に大別される。
  • 暖流と寒流の潮境は、栄養に富み好漁場となることが多い。
  • 海流の速さはノット(knot)で表され、流量はスベルドラップ(Sv)という単位が用いられる。

海流(かいりゅう、英: ocean currents)とは、地球規模で発生する海水の水平方向の恒常的な流れの総称です。潮汐によって生じる潮流とは異なり、海流は長期間にわたりほぼ一定の方向に流れる性質を持ちます。海流は地球の気候形成や水産資源の分布に多大な影響を及ぼしています。

海洋循環のメカニズム

海流の発生原因は、大きく分けて表層循環と深層循環の二つに分類されます。これらを総称して海洋循環と呼びます。

  • 表層循環(風成循環:海面付近で吹く卓越風による摩擦運動が主な要因です。風の応力が海面に伝わり、大規模な循環を形成します。
  • 深層循環(熱塩循環:海水の温度や塩分濃度の違いによる密度の不均一が引き起こす流れです。深層部における海水の移動を主導しています。

海流の分類

海流は、その性質や成因、期間によっていくつかの基準で分類されます。

暖流と寒流

周辺海域の水温との比較に基づいた分類です。科学的に厳密な温度定義は存在しませんが、一般的に以下の傾向があります。

  • 暖流:低緯度から高緯度へ向けて流れる海流。周囲の大気を暖め、沿岸に温暖で湿潤な気候をもたらす傾向があります。日本周辺では黒潮(日本海流)や対馬海流が代表的です。
  • 寒流:高緯度から低緯度へ向けて流れる海流。沿岸を冷涼で乾燥させる傾向があります。栄養塩に富み、プランクトンが豊富であるため、暖流と接する潮境は好漁場となります。日本周辺では親潮(千島海流)やリマン海流が該当します。

成因による分類

海流は単一の要因ではなく、複数の物理的プロセスが組み合わさって形成されます。

  • 吹送流:風の応力によって生じる流れ。
  • 傾斜流:海面の傾斜や圧力分布の平衡によって生じる流れ。
  • 密度流:水温や塩分分布による密度差によって生じる流れ。
  • 補流:海水の移動に伴い、それを補うように発生する流れ。

観測方法

海流の観測には、直接測流と間接測流の二つの手法が用いられます。

  • 直接測流:流速計を固定するオイラー法や、漂流ブイなどを追跡するラグランジュ法があります。現代では超音波式多層流速計(ADCP)などが広く利用されています。
  • 間接測流:船舶の航行データから海流の影響を推算する方法や、水温・塩分データから密度分布を計算し、地衡流の関係を用いて流速を算出する力学計算が行われます。

よくある質問

暖流と寒流の違いは何ですか?
周囲の海域と比較して水温が高いものを暖流、低いものを寒流と呼びます。暖流は低緯度から高緯度へ、寒流は高緯度から低緯度へ流れるのが一般的です。
海流はどのように観測されますか?
流速計を固定する直接法と、水温や塩分などのデータから計算で求める間接法があります。
海流が気候に与える影響は?
海流は熱を輸送するため、沿岸地域の気温や降水量に大きな影響を与えます。例えば、北大西洋海流は西ヨーロッパの冬の気温を同緯度の他地域より高く保つ要因の一つです。

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参考文献

  • 能沢源右衛門『新しい海洋科学』成山堂書店、1999年。
  • 監修者和達清夫『海洋の辞典』東京堂出版、1960年。
  • 理科年表(各年版)