海洋学の基礎と歴史、主要な研究分野の概要
📌 主なポイント
- ✓海洋学は地球科学の一分野であり、海洋物理学、海洋化学、生物海洋学、海洋地質学などの主要分野に分かれる。
- ✓1872年から1876年のチャレンジャー号探検航海により、海洋学は学問としての形を整えた。
- ✓日本では1870年の海軍による水路作業を端緒として海洋観測が開始された。
海洋学(かいようがく、英語:oceanography)は、地球を対象とする地球科学の一分野であり、海洋に関する様々な現象や変動を自然科学的側面から研究する学問です。海棲生物、プレートテクトニクス、海流など、多岐にわたる要素を対象としています。
主要分野
海洋学は、解析する海洋の性質に応じていくつかの主要な分野に大別されます。
- 海洋化学:海水の化学的性質やその分布・変動を研究対象とし、地球化学の一分野でもあります。
- 生物海洋学(海洋生物学):動植物プランクトンや魚類などの海棲生物の生態を研究します。水産海洋学との関連も深い分野です。
- 海洋地質学:プレートテクトニクスなど、海洋底の地質学的性質や変動を対象とします。
- 海洋物理学:海流や潮汐といった海洋の物理的な性質や変動を研究します。地球物理学の一分野であり、大気との相互作用を重視することから気象学や気候変動の研究とも深く関わっています。
研究手法
海洋学における調査や研究には、現地での直接的な観測から数値解析まで多様な手法が用いられます。
海洋観測
研究船をはじめ、商船を活用した篤志観測船(VOS)、漂流・定点ブイ、リモートセンシング衛星(衛星海洋学)などを用いて観測が行われます。研究船による調査では、CTD(電気伝導度・水温・深度計)を用いて水温や塩分の鉛直プロファイルを観測するほか、溶存酸素計や採水器を用いた深さごとのサンプル採取、プランクトンやネクトンの採集などが行われます。
数値シミュレーション
海洋の物理的性質に関する数値解析は気象学とほぼ同等の歴史を持ちます。スーパーコンピュータなどの活用により、現実的な海流分布の再現が進められており、近年では化学的・生物学的要素を組み込む試みも行われています。
海洋学の歴史
海洋に関する探求は古代から行われていましたが、近代的な学問としての形を整えたのは19世紀後半です。1872年から1876年にかけて実施されたチャレンジャー号による探検航海がその契機となりました。19世紀末にはナンセンによる北極探検の観測結果をもとにエクマンが吹走流理論を確立し、1900年には国際海洋開発委員会が設立されました。第二次世界大戦中には軍事上の要請から、特に水中音響関係の研究が発展しました。
日本における海洋研究
日本では、1870年に海軍で水路作業が開始され、翌年に水路部が創設されて海洋観測が始まりました。1883年には中央気象台の和田雄治が海流瓶を用いて日本周辺の海流(黒潮や親潮)を調査しました。昭和期には各地の水産試験場や気象台が協力した大規模な一斉調査が行われ、観測の規模が拡大しました。戦後、1962年には東京大学海洋研究所や東海大学海洋学部が設立され、大学教育と研究の体制が整備されました。1971年には現在の海洋研究開発機構の前身となる組織が設立されています。
よくある質問
海洋学の主要な分野は何ですか?
近代海洋学の出発点となった出来事は何ですか?
海洋観測ではどのような手法が使われますか?
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参考文献
臼井 朗『海底鉱物資源 未利用のレアメタルの探査と開発』オーム社、2010年。