言語学
古ザクセン語の歴史と文献学的特徴
古ザクセン語(古低ドイツ語)の歴史、言語的特徴、および『ヘーリアント』などの残存する重要な文献について解説する百科事典記事です。
📌 主なポイント
- ✓古ザクセン語は古低ドイツ語とも呼ばれ、9世紀から12世紀にかけて記録された低ザクセン語の最古の語形である。
- ✓西ゲルマン語群の北海ゲルマン語に分類され、古高ドイツ語とは第二次子音推移によって区別される。
- ✓現存する最も重要な文学的テキストとして叙事詩『ヘーリアント』が知られている。
古ザクセン語(Altsächsisch)は、古低ドイツ語(Altniederdeutsch)とも称され、9世紀から12世紀にかけての文書に記録された低ザクセン語のうち、最も古い時期に記録された語形である。後にこの言語は中低ドイツ語へと発展した。
言語的特徴と系統
古ザクセン語は、ドイツの北西海岸地方やデンマークにおいてザクセン人によって話されていた。言語系統としてはインド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派、西ゲルマン語群に属する。古フリジア語や古英語などのアングロフリジア語、古低地フランク語(古オランダ語)に密接に関連しており、これらは北海ゲルマン語に分類される。古ザクセン語も北海ゲルマン語の音韻変化である鼻音の消失に部分的に関与している。一方で、古高ドイツ語とは第二次子音推移の有無によって明確に隔てられている。
主要な文献と文学作品
古ザクセン語で書かれた文学的テキストは限られており、その大部分はザクセン人がカール大帝の命令によって義務づけられた受洗に関連する誓いなどの断片である。現存する最大の文学的テキストとしては、古ザクセン語による全詩行からなる叙事詩『ヘーリアント』が挙げられる。そのほか、『ザクセン語の創世記』や各種の呪文、受洗の誓いなどの記録が残されている。
- 『ヘーリアント』
- 『ザクセン語の創世記』
- 『トリールの血の呪文』
- 『ヴィーンの寄生虫の呪文』
- 『ヴィーンの馬の呪文』
- 『ヴェストファーレン語の受洗の誓い』
- 『ザクセン語の受洗の誓い』
- 『ゲルンローデの詩篇注解』
- 『ヴェストファーレン語の懺悔』
- 『ベーダ説教』
- 『エッセンの徴税簿』
- 『フレッケンホルスト収税簿』
よくある質問
古ザクセン語とはどのような言語ですか?
9世紀から12世紀にかけてドイツ北西海岸地方やデンマークのザクセン人によって話されていた、低ザクセン語の最も古い記録形式です。古低ドイツ語とも呼ばれます。
古ザクセン語の代表的な文学作品は何ですか?
最大の文学的テキストとして叙事詩『ヘーリアント』が挙げられます。その他、『ザクセン語の創世記』や各種の呪文、受洗の誓いなどが残されています。
古高ドイツ語との違いは何ですか?
古ザクセン語は第二次子音推移を経験しておらず、その点で第二次子音推移によって特徴づけられる古高ドイツ語とは明確に隔てられています。
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参考文献
B.Taeger, V.M.Niemyer / 『古期ドイツ語作品集成』高橋輝和 編訳、渓流社、2003年 / 高橋輝和「古期ドイツ語の呪文における異教の共生と融合」『文化共生学研究』第2号、2004年 / A.Wrann, Altdeutsche Taufgelöbnisse, GRIN Verlag