航空工学
機上不活性ガス生成装置の仕組みと航空機への導入効果
航空機の燃料タンクにおける火災や爆発を防止するための機上不活性ガス生成装置(OBIGGS)の概要、仕組み、搭載機種について解説します。
📌 主なポイント
- ✓機上不活性ガス生成装置(OBIGGS)は、航空機の燃料タンクにおける火災や爆発を防止する装置である。
- ✓エンジンの抽気から窒素ガスを分離・濃縮し、燃料タンク内の酸素濃度を低下させる仕組みを持つ。
- ✓軍用機における運用では、酸素濃度を9%以下に維持することが目安とされている。
- ✓1982年から量産が開始され、主に軍用機に搭載されてきた。
機上不活性ガス生成装置(On Board Inert Gas Generating System、略称:OBIGGS、オビグス)は、航空機の燃料タンク内における火災および爆発を防止するために開発された安全装置である。
概要と仕組み
航空機の燃料タンク内の空間には、気化した燃料と空気中の酸素が混ざった混合気が充満している。この状態で静電気などの発火源が加わると、燃料が引火して致命的な火災や爆発につながる危険性がある。
OBIGGSは、航空機のエンジンから抽出された空気(抽気)を利用し、不活性ガスである窒素ガスを分離・濃縮して燃料タンク内へ供給する。これにより、タンク内の酸素濃度を低下させ、可燃性雰囲気を解消して安全性を維持する。軍用機における運用では、一般的に酸素濃度を9%以下に抑えることが目安とされている。
導入の利点
従来の防爆対策として用いられていた燃料タンク内の金属製ハニカム構造やポリウレタンなどの充填材が不要になるため、機体の軽量化および燃料搭載量の増加に寄与する。また、エンジンの稼働中であれば常時ガスを供給することが可能であり、地上での不活性ガス充填作業や整備の負担を軽減することができる。
歴史と搭載機種
1982年の量産開始以降、主に軍用機を中心に採用されてきた。代表的な搭載機種としては、以下のようなものがある。
- AH-64
- V-22
- C-17
- AH-1Z
よくある質問
機上不活性ガス生成装置(OBIGGS)とは何ですか?
航空機の燃料タンク内における火災や爆発を防止するため、エンジン抽気から窒素ガスを生成してタンク内に供給し、酸素濃度を低下させる装置です。
OBIGGSはどのような仕組みで動作しますか?
エンジンの稼働中に得られる抽気から不活性ガスである窒素を分離・濃縮し、それを燃料タンク内に送り込むことで可燃性雰囲気を防ぎます。
軍用機ではどの程度の酸素濃度が目安とされていますか?
軍用機における運用では、酸素濃度を9%以下に抑えることが目安とされています。
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参考文献
高橋浩章「航空機の機上ガス分離技術の動向」『防衛技術ジャーナル』324号、2008年